学習トップ理由で解く 解剖学第10章 ▸ R. 頭頸部の脈管・末梢神経 / Q1084

理由で解く 解剖学

Q1084 運動器系

出典:鍼灸 第3回(1995) 問題25
問題
甲状腺について正しい記述はどれか。
選択肢
1 甲状軟骨の上方に位置する。
2 皮質と髄質に分かれる。
3 多数のろ胞が存在する。
4 内頸動脈の枝で栄養される。
解答
正解3(多数のろ胞が存在する。)
解説
✗ 1. 誤り
甲状軟骨の上方に位置する。
甲状腺は甲状軟骨の下方に位置する。喉頭(甲状軟骨)の下縁から気管上部(第2〜4気管軟骨の高さ)の前面を蝶のように覆い、左右の側葉と中央の峡部で気管を取り囲む。
✗ 2. 誤り
皮質と髄質に分かれる。
皮質と髄質に分かれるのは副腎や腎臓・リンパ節などで、甲状腺にはこの区分はない。甲状腺はろ胞(コロイドを貯える球状構造)の集合からなる実質臓器である。
✓ 3. 正しい
多数のろ胞が存在する。
甲状腺は直径0.02〜0.9mmのろ胞(濾胞)が多数集合してできる内分泌腺で、ろ胞の壁は単層のろ胞上皮細胞からなり、内腔はチログロブリンを含むコロイドで満たされる。ろ胞上皮細胞は甲状腺ホルモン(T3・T4)を合成・分泌し、コロイドに蓄えたのち血中に放出する。ろ胞間の結合組織には傍ろ胞細胞(C細胞)が散在し、血中カルシウム濃度を下げるカルシトニンを分泌する。貯蔵型の内分泌腺として他の内分泌器官とは異なる組織学的特徴を持つ。
✗ 4. 誤り
内頸動脈の枝で栄養される。
甲状腺は上甲状腺動脈(外頸動脈の枝)と下甲状腺動脈(鎖骨下動脈からの甲状頸動脈の枝)により栄養される。内頸動脈は頸部では枝を出さず頭蓋内に入るため、頸部内臓の栄養には関与しない。
ポイント
  • 甲状腺は甲状軟骨下方・気管前面に位置する蝶形の内分泌腺で、ろ胞構造を持ちT3・T4を分泌。栄養は上甲状腺動脈(外頸動脈枝)・下甲状腺動脈(甲状頸動脈枝)。
  • 覚え方のコツ: 「甲状腺はろ胞でホルモン貯蔵、皮髄区別なし」。動脈は「上=外頸、下=鎖骨下(甲状頸動脈)」の2系統。
  • 関連知識: ろ胞上皮細胞はT3・T4を分泌(代謝促進)、傍ろ胞C細胞はカルシトニンを分泌(血中Ca低下)。甲状腺の後面には上皮小体(副甲状腺)が4個付着しPTHを分泌。
  • よくある間違い: 甲状腺を甲状軟骨の上方にあると誤認する/皮質・髄質構造があると誤解する/内頸動脈系で栄養されると勘違いする。
  • 臨床応用: バセドウ病(T3・T4過剰)・橋本病(慢性甲状腺炎)・甲状腺癌など。甲状腺手術では反回神経・上皮小体の温存が重要。
比較表
項目 内容
位置 甲状軟骨下方・気管前面(第2〜4気管軟骨高位)
形状 蝶形(左右側葉+峡部)
組織構造 多数のろ胞(コロイド貯蔵)+傍ろ胞C細胞
ホルモン T3・T4(ろ胞上皮)、カルシトニン(C細胞)
動脈 上甲状腺動脈(外頸動脈枝)、下甲状腺動脈(甲状頸動脈枝)
静脈 上・中甲状腺静脈→内頸静脈、下甲状腺静脈→腕頭静脈
解説画像
鍼灸 第3回(1995) 問題25|甲状腺について正しい記述はどれか。 解説図
鍼灸 第3回(1995) 問題25|甲状腺について正しい記述はどれか。
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