学習トップ理由で解く 解剖学第10章 ▸ P. 頭頸部の筋 / Q1061

理由で解く 解剖学

Q1061 運動器系

出典:鍼灸 第19回(2011) 問題18
問題
咀嚼筋で下顎骨を前方に移動させる働きがあるのはどれか。
選択肢
1 外側翼突筋
2 内側翼突筋
3 咬筋
4 側頭筋
解答
正解1(外側翼突筋)
解説
✓ 1. 正しい
外側翼突筋
外側翼突筋は蝶形骨翼状突起外側板(上頭は蝶形骨大翼側頭下面)から起こり、下顎頸と顎関節の関節円板前方に停止する咀嚼筋である。両側同時に収縮すると下顎頭を関節円板とともに前方(関節結節を越える方向)へ引き出し、下顎を前方突出させる。片側のみ収縮すると下顎を反対側へ移動させ、これが咀嚼時の左右運動(臼磨運動)を生む。他の咀嚼筋はすべて下顎を挙上する閉口筋であるが、外側翼突筋のみが「下顎の前方移動」という独特の作用を担い、開口運動の開始にも重要である(意図的開口時:まず外側翼突筋が下顎頭を前方に引き出した後、舌骨上筋群が下方に引き下げる)。下顎神経(第V脳神経第3枝)に支配され、他の咀嚼筋と同じ運動系に属す。
✗ 2. 誤り
内側翼突筋
内側翼突筋は翼突窩(蝶形骨)から起こり下顎枝内面に停止する。下顎を挙上(閉口)する作用が主で、片側収縮で下顎を対側に移動させるが、前方移動は行わない。咬筋と対をなして下顎枝を内外から挟むように付着する。
✗ 3. 誤り
咬筋
咬筋は頬骨弓から起こり下顎枝外面に停止する強力な閉口筋で、下顎の挙上が主作用。前方移動作用は持たない。歯を噛みしめると皮下に触れる代表筋で、咀嚼筋の中でも最も表層にある。
✗ 4. 誤り
側頭筋
側頭筋は側頭窩から起こり下顎骨筋突起に停止する扇状の筋。下顎を挙上する(特に前部の垂直線維)作用と、後部線維が下顎を後方に引く作用を持つ。前方移動作用は持たず、むしろ外側翼突筋で前方に出た下顎を後方に戻す役割を担う。
ポイント
  • 咀嚼筋4筋のうち外側翼突筋のみが下顎を前方に移動させる開口補助筋。他の3筋はすべて挙上(閉口)筋。
  • 覚え方のコツ: 「外側翼突筋だけ逆向き(前方+開口寄り)」。閉口3兄弟=咬筋・側頭筋・内側翼突筋。
  • 関連知識: すべて下顎神経(V3)支配。側頭筋後部は下顎の後方移動(外側翼突筋と拮抗)、片側の外側翼突筋+対側側頭筋後部で下顎の左右運動を担う。
  • よくある間違い: 内側翼突筋を前方移動作用と誤認(内側翼突筋は閉口+側方移動)。
  • 臨床応用: 顎関節症では外側翼突筋の過緊張や関節円板の前方偏位が病態の一つ。開口時のクリック音や顎関節痛の原因となる。
比較表
咀嚼筋 起始 停止 主作用
咬筋 頬骨弓 下顎枝外面 下顎挙上(閉口)
側頭筋 側頭窩 下顎骨筋突起 下顎挙上・後方移動
外側翼突筋 蝶形骨翼状突起外側板 下顎頸・関節円板 下顎前方移動・開口補助
内側翼突筋 翼突窩 下顎枝内面 下顎挙上・左右移動
解説画像
鍼灸 第19回(2011) 問題18|咀嚼筋で下顎骨を前方に移動させる働きがあるのはどれか。 解説図
鍼灸 第19回(2011) 問題18|咀嚼筋で下顎骨を前方に移動させる働きがあるのはどれか。
この問題の解説の修正を依頼する

解説に誤り・改善点があればお知らせください。件名と本文は自動入力済みです(編集できます)。お名前・メールアドレスは任意です。送信内容は玄康株式会社(黒澤一弘)に届きます。

この問題をアプリで理由で解く 解剖学
App Store入手