学習トップ理由で解く 解剖学第10章 ▸ O. 下肢の局所解剖・脈管・神経 / Q1047

理由で解く 解剖学

Q1047 運動器系

出典:鍼灸 第3回(1995) 問題33
問題
大腿中央部で最も深部にあるのはどれか。
選択肢
1 縫工筋
2 大腿動脈
3 大伏在静脈
4 薄筋
解答
正解2(大腿動脈)
解説
✗ 1. 誤り
縫工筋
縫工筋は人体で最長の筋で、上前腸骨棘から起こり大腿前面を斜めに横断して脛骨粗面の内側(鵞足)に停止する。大腿中央部では皮下浅層を斜走し、内転筋管の蓋(屋根)を形成する。深部にある大腿動脈より浅い位置にある。
✓ 2. 正しい
大腿動脈
大腿動脈は大腿中央部で縫工筋と内側広筋の間にできた内転筋管(Hunter管)の中を通る。内転筋管は縫工筋(上半分)と大内転筋・内側広筋に張る筋膜(下半分)で蓋をされたトンネル状の構造で、この中を大腿動脈・大腿静脈・伏在神経が通る。つまり大腿中央部では、皮膚→皮下組織→大腿筋膜→縫工筋→内転筋管→大腿動脈の順に深くなり、選択肢中では大腿動脈が最も深部に位置する。大腿動脈は内転筋腱裂孔を経て膝窩動脈に移行するが、内転筋管を走る中央部では大腿の深部にあるため、体表からの触知は鼠径靭帯中央部や膝窩に比べて困難である。
✗ 3. 誤り
大伏在静脈
大伏在静脈は下肢最長の皮静脈で、内果前方から起こり下腿・大腿の内側を皮下(大腿筋膜の浅層)を上行し、大腿三角で伏在裂孔を貫いて大腿静脈に注ぐ。皮下組織内を走る表在静脈で最も浅い部類の構造である。
✗ 4. 誤り
薄筋
薄筋は内転筋群の最内側にある細長い筋で、恥骨下枝から起こり脛骨粗面の内側(鵞足)に停止する。大腿内側面の皮下近くを走行し、大腿動脈より浅層にある。
ポイント
  • 大腿中央部では縫工筋・薄筋・大伏在静脈は皮下浅層、大腿動脈は内転筋管内の深部にある。
  • 覚え方のコツ: 内転筋管=縫工筋が屋根→中身は大腿動静脈と伏在神経。深い順は「皮静脈<皮筋<内転筋管内の動脈」。
  • 関連知識: 縫工筋・薄筋・半腱様筋は鵞足として脛骨粗面内側に共同停止。大伏在静脈は伏在裂孔で大腿静脈に合流。
  • よくある間違い: 大腿三角での位置関係と混同(三角では動脈は比較的浅い)/大伏在静脈を深部静脈と誤認。
  • 臨床応用: 冠動脈バイパス手術では大伏在静脈がグラフトとして採取される。内転筋管での大腿動脈狭窄(Hunter管症候群)は間欠性跛行の原因となる。
比較表
構造 大腿中央部での位置
大伏在静脈 大腿筋膜の浅層(皮下)
縫工筋 皮下〜内転筋管の屋根
薄筋 大腿内側皮下
大腿動脈・大腿静脈 内転筋管内(最深部)
伏在神経 内転筋管内(動脈と伴走)
解説画像
鍼灸 第3回(1995) 問題33|大腿中央部で最も深部にあるのはどれか。 解説図
鍼灸 第3回(1995) 問題33|大腿中央部で最も深部にあるのはどれか。
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