学習トップ理由で解く 解剖学第10章 ▸ J. 上肢の筋 / Q0948

理由で解く 解剖学

Q0948 運動器系

出典:鍼灸 第18回(2010) 問題17
問題
肩の筋において上腕を外転させるのはどれか。
選択肢
1 棘上筋
2 棘下筋
3 肩甲挙筋
4 肩甲下筋
解答
正解1(棘上筋)
解説
✓ 1. 正しい
棘上筋
棘上筋は肩甲骨棘上窩から起こり、肩関節上方を通って上腕骨大結節上部に停止する。肩甲上神経支配で、肩関節外転を始動する働きを持つ。三角筋中部線維は上腕骨の長軸と平行で下垂位では垂直方向の引き上げしかできないため、外転0〜15度の始動は棘上筋が担い、それ以降を三角筋が引き継ぐ(水平位まで外転)。回旋筋腱板の最上部として肩関節包を補強する役割もある。
✗ 2. 誤り
棘下筋
棘下筋は棘下窩から起こり大結節中部に停止。肩甲上神経支配で肩関節の「外旋」を行う。外転作用はない。
✗ 3. 誤り
肩甲挙筋
肩甲挙筋は上位頸椎横突起から起こり肩甲骨上角に停止する。肩甲背神経支配で、肩甲骨を挙上する(肩をすくめる動作)。上腕骨を外転させる作用はない。
✗ 4. 誤り
肩甲下筋
肩甲下筋は肩甲下窩から起こり上腕骨小結節に停止。肩甲下神経支配で肩関節を「内旋」させる。外転作用はない。
ポイント
  • 中核要点: 肩関節外転の始動は棘上筋、水平位までは三角筋が主役。水平位以上の挙上には僧帽筋・前鋸筋による肩甲骨の上方回旋が必要。
  • 覚え方のコツ: 外転第1相「0〜15度:棘上筋が始動」「15〜90度:三角筋が引き継ぐ」「90度以上:肩甲骨回旋」と3段階で整理。
  • 関連知識: 棘上筋腱は肩峰下を通過するため、挟まれやすく断裂しやすい(回旋筋腱板損傷の多くは棘上筋腱)。
  • よくある間違い: 棘下筋・肩甲下筋を外転筋と誤認する(それぞれ外旋・内旋筋)/三角筋中部だけで外転が完結すると考える(始動は棘上筋)。
  • 臨床応用: 棘上筋腱断裂・肩峰下インピンジメント症候群では肩関節外転の始動が困難となる。Drop arm sign(90度まで他動的に挙上後、保持できず腕が落下する)が特徴的。
比較表
作用 支配神経
棘上筋 肩関節外転(始動) 肩甲上神経
三角筋(中部) 肩関節外転 腋窩神経
棘下筋 肩関節外旋 肩甲上神経
肩甲下筋 肩関節内旋 肩甲下神経
肩甲挙筋 肩甲骨挙上 肩甲背神経
僧帽筋・前鋸筋 肩甲骨上方回旋(90度以上挙上に必要) 副神経/長胸神経
解説画像
鍼灸 第18回(2010) 問題17|肩の筋において上腕を外転させるのはどれか。 解説図
鍼灸 第18回(2010) 問題17|肩の筋において上腕を外転させるのはどれか。
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