学習トップ理由で解く 解剖学第10章 ▸ J. 上肢の筋 / Q0933

理由で解く 解剖学

Q0933 運動器系

出典:鍼灸 第12回(2004) 問題21
問題
手根管を通らないのはどれか。
選択肢
1 尺骨神経
2 正中神経
3 長母指屈筋腱
4 深指屈筋腱
解答
正解1(尺骨神経)
解説
✓ 1. 誤り
尺骨神経
尺骨神経は屈筋支帯の「浅層」を尺骨動脈とともに走行し、豆状骨と有鉤骨鈎の間にできる「尺骨神経管(ギヨン管)」を通って手内に入る。手根管の内部は通らないため、本問の正答となる。ギヨン管は手根管より浅く表層に位置し、尺側手根屈筋腱の外側にある。
✗ 2.
正中神経
✗ 正しい。 正中神経は浅指屈筋と深指屈筋の間を下行し、手根部では浅・深指屈筋腱とともに手根管を通って手内に入る。手内では母指球筋への筋枝と母指〜薬指橈側半への皮枝を出す。手根管症候群の主な障害神経である。
✗ 3.
長母指屈筋腱
✗ 正しい。 長母指屈筋腱は橈骨前面から起こり、手根管を通って母指末節骨底に停止する。手根管を通る「屈筋腱5本(浅指屈筋4・深指屈筋4・長母指屈筋1の合計9本+長母指屈筋)」のうちの1本。実際には手根管を通るのは9腱+正中神経。
✗ 4.
深指屈筋腱
✗ 正しい。 深指屈筋は尺骨前面・前腕骨間膜から起こり、4本の腱となって手根管を通り第2〜5指の末節骨底に停止する。浅指屈筋腱と共通の滑液包に包まれて手根管内を走行する。
ポイント
  • 手根管の中身は「屈筋腱9本(浅指屈筋4・深指屈筋4・長母指屈筋1)+正中神経」。尺骨神経と尺骨動脈は屈筋支帯浅層のギヨン管(尺骨神経管)を通り、手根管の外を走る。
  • 覚え方のコツ: 「正中神経=手根管、尺骨神経=ギヨン管」と2つのトンネルを対比。橈側手根屈筋は屈筋支帯深層の独立溝、長掌筋は屈筋支帯浅層と、それぞれ別経路で整理。
  • 関連知識: ギヨン管は豆状骨と有鈎骨鈎で囲まれた腱性・靭帯性の管で、尺骨神経と尺骨動脈が通る。ここでの絞扼で尺骨神経管症候群(ギヨン管症候群)が生じる。
  • よくある間違い: 尺骨神経が手根管を通ると誤る/手根管の深さ(屈筋支帯の深層)とギヨン管(浅層)を逆に理解する/血管(橈骨動脈・尺骨動脈)の経路を混同する。
  • 臨床応用: 手根管症候群は正中神経圧迫により母指〜薬指橈側半の感覚障害・母指球筋萎縮を生じる。ギヨン管症候群は尺骨神経圧迫により小指の感覚障害・骨間筋萎縮(鷲手)を呈する。
比較表
トンネル 通る構造 位置
手根管 浅指屈筋腱4・深指屈筋腱4・長母指屈筋腱1・正中神経 屈筋支帯の深層
尺骨神経管(ギヨン管) 尺骨神経・尺骨動脈 屈筋支帯の浅層、豆状骨尺側
橈側手根屈筋腱溝 橈側手根屈筋腱 屈筋支帯の深層独立溝
解説画像
鍼灸 第12回(2004) 問題21|手根管を通らないのはどれか。 解説図
鍼灸 第12回(2004) 問題21|手根管を通らないのはどれか。
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