学習トップ理由で解く 解剖学第10章 ▸ J. 上肢の筋 / Q0926

理由で解く 解剖学

Q0926 運動器系

出典:鍼灸 第7回(1999) 問題19
問題
手関節の内転に働く筋はどれか。
選択肢
1 長掌筋
2 浅指屈筋
3 橈側手根屈筋
4 尺側手根屈筋
解答
正解4(尺側手根屈筋)
解説
✗ 1. 誤り
長掌筋
長掌筋は内側上顆から起こり手掌腱膜につく前腕屈筋で、手関節の「屈曲(掌屈)」のみに作用する。筋自体が前腕のほぼ中央を走るため、内転(尺屈)や外転(橈屈)の作用はない。
✗ 2. 誤り
浅指屈筋
浅指屈筋は内側上顆・尺骨粗面・橈骨前面から起こり、第2〜5指の中節骨底に停止する。作用は第2〜5指のMP関節・PIP関節の屈曲で、手関節そのものの内転作用は主作用ではない。
✗ 3. 誤り
橈側手根屈筋
橈側手根屈筋は内側上顆から起こり第2・3中手骨底に停止し、手関節の屈曲(掌屈)と「外転(橈屈)」に作用する。停止が橈骨側にあるため内転ではなく外転に働く。
✓ 4. 正しい
尺側手根屈筋
尺側手根屈筋は内側上顆(上腕頭)と尺骨上半部後縁(尺骨頭)から起こり、豆状骨・第5中手骨底に停止する。手関節の屈曲(掌屈)とともに内転(尺屈)に作用する。尺側手根伸筋と共同して手関節を尺屈させる。尺骨神経支配で、前腕屈筋群では唯一の尺骨神経支配筋。
ポイント
  • 尺側手根屈筋は手関節の屈曲+内転(尺屈)に働き、前腕屈筋群で唯一の尺骨神経支配筋。停止は豆状骨(種子骨)・第5中手骨底。
  • 覚え方のコツ: 前腕屈筋の支配神経は「尺側手根屈筋と深指屈筋尺側半=尺骨神経、残りは正中神経」。尺側の筋=尺骨神経支配+尺屈作用と一貫して整理。
  • 関連知識: 豆状骨は尺側手根屈筋の停止腱にできた種子骨で、手首前面の最も尺側に触れる。ここから小指球・ギヨン管(尺骨神経管)が始まる。
  • よくある間違い: 橈側手根屈筋を内転筋と誤る(橈屈筋)/浅指屈筋の主作用を手関節内転と誤認(主作用は指の屈曲)/長掌筋に方向性の作用があると誤る。
  • 臨床応用: 尺骨神経麻痺(肘部管症候群など)では尺側手根屈筋の麻痺により手関節の内転力が低下する。豆状骨周囲の骨折・脱臼も尺骨神経症状の原因。
比較表
支配神経 手関節への作用
長掌筋 正中神経 屈曲のみ
浅指屈筋 正中神経 主に指の屈曲
橈側手根屈筋 正中神経 屈曲+外転(橈屈)
尺側手根屈筋 尺骨神経 屈曲+内転(尺屈)
解説画像
鍼灸 第7回(1999) 問題19|手関節の内転に働く筋はどれか。 解説図
鍼灸 第7回(1999) 問題19|手関節の内転に働く筋はどれか。
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