学習トップ理由で解く 解剖学第10章 ▸ J. 上肢の筋 / Q0921

理由で解く 解剖学

Q0921 運動器系

出典:鍼灸 第5回(1997) 問題17
問題
筋とその作用との組合せで正しいのはどれか。
選択肢
1 烏口腕筋 ― 前腕の屈曲
2 長掌筋 ― 手の背屈
3 膝窩筋 ― 下腿の内旋
4 長腓骨筋 ― 足の内反
解答
正解3(膝窩筋 ― 下腿の内旋)
解説
✗ 1. 誤り
烏口腕筋 ― 前腕の屈曲
烏口腕筋は肩甲骨烏口突起から起こり上腕骨体内側に停止する上腕屈筋群の1つで、「肩関節」の屈曲・内転に作用する。前腕の屈曲(=肘関節の屈曲)は上腕筋・上腕二頭筋・腕橈骨筋の作用で、烏口腕筋は肘関節をまたがないため前腕屈曲には関与しない。
✗ 2. 誤り
長掌筋 ― 手の背屈
長掌筋は内側上顆から起こり手掌腱膜につく筋で、手関節の「屈曲(掌屈)」に作用する。手の背屈(伸展)には長・短橈側手根伸筋・尺側手根伸筋・総指伸筋などが働く。掌屈と背屈を逆に覚えている誤りである。
✓ 3. 正しい
膝窩筋 ― 下腿の内旋
膝窩筋は大腿骨外側上顆・膝関節包から起こり脛骨上部後面に停止する小さな筋で、下腿(脛骨)を内旋し、膝関節完全伸展位でのロック(terminal rotation)を解除する働きがある。膝屈曲の始動筋として機能し、脛骨神経に支配される。膝関節の運動で重要な役割を担う。
✗ 4. 誤り
長腓骨筋 ― 足の内反
長腓骨筋は腓骨上部外側面から起こり、その腱は外果の後方を回り足底を横切って内側楔状骨・第1中足骨底に停止する。足の「外反(外がえし)」と底屈に作用し、内反ではない。内反は後脛骨筋・前脛骨筋が担う。浅腓骨神経支配。
ポイント
  • 膝窩筋は下腿(脛骨)を内旋し、膝関節伸展位のロックを解除する筋。起始は大腿骨外側上顆、停止は脛骨上部後面、脛骨神経支配。
  • 覚え方のコツ: 「膝窩筋=膝のロック解除キー」。烏口腕筋は「肩の屈曲・内転」で肘には作用しない。長腓骨筋・短腓骨筋は外反筋、前脛骨筋・後脛骨筋は内反筋と足の内外反を整理。
  • 関連知識: 膝関節完全伸展位では脛骨がわずかに外旋してロックされる(screw home movement)。膝窩筋の収縮で脛骨が内旋しロックが外れて屈曲が始まる。
  • よくある間違い: 長掌筋を背屈筋と誤る/長腓骨筋を内反筋と誤る/烏口腕筋を上腕二頭筋と混同して前腕屈曲に関与と誤認。
  • 臨床応用: 膝窩筋の損傷や腱炎で膝後外側痛を呈し、下り坂や階段下降時に悪化する。長腓骨筋腱は外果後方での腱鞘炎、捻挫後の腱脱臼の原因となる。
比較表
起始 停止 作用 支配神経
烏口腕筋 烏口突起 上腕骨体内側 肩関節屈曲・内転 筋皮神経
長掌筋 内側上顆 手掌腱膜 手関節屈曲(掌屈) 正中神経
膝窩筋 大腿骨外側上顆 脛骨上部後面 下腿内旋、膝関節ロック解除 脛骨神経
長腓骨筋 腓骨上部外側面 内側楔状骨、第1中足骨底 足の外反・底屈 浅腓骨神経
解説画像
鍼灸 第5回(1997) 問題17|筋とその作用との組合せで正しいのはどれか。 解説図
鍼灸 第5回(1997) 問題17|筋とその作用との組合せで正しいのはどれか。
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