学習トップ理由で解く 解剖学第10章 ▸ I. 体幹の局所解剖・脈管・神経 / Q0905

理由で解く 解剖学

Q0905 運動器系

出典:あマ指 第15回(2007) 問題17
問題
鼠径管の壁を構成しないのはどれか。
選択肢
1 腸腰筋
2 外腹斜筋
3 内腹斜筋
4 腹横筋
解答
正解1(腸腰筋)
解説
✓ 1. 誤り
腸腰筋
腸腰筋は大腰筋と腸骨筋からなる内寛骨筋(下肢帯筋)で、腰椎椎体・横突起および腸骨窩から起こり大腿骨小転子に停止する股関節屈筋である。鼠径管の壁ではなく、鼠径靱帯の「深部」を通過して大腿部に抜ける構造物(筋裂孔内)であり、鼠径管の壁を形成する筋ではない。鼠径管は鼠径靱帯の上縁に沿って斜め内下方に走る側腹筋内のトンネルで、壁は腹壁筋の3層(外腹斜筋腱膜が前壁、内腹斜筋と腹横筋が上壁および後壁の一部、腹横筋膜が後壁、鼠径靱帯が下壁・底)で構成される。男性では精索、女性では子宮円索が通過する。
✗ 2.
外腹斜筋
✗ 正しい。 外腹斜筋の停止腱膜は鼠径管の「前壁」を構成する。鼠径靱帯自体も外腹斜筋腱膜の下縁が肥厚したものであり、鼠径管の下壁(底)となる。
✗ 3.
内腹斜筋
✗ 正しい。 内腹斜筋は鼠径管の「上壁」および後壁の一部を構成する。最下端部の筋束は精索を包み込み精巣挙筋となる。
✗ 4.
腹横筋
✗ 正しい。 腹横筋は鼠径管の「上壁」および後壁の一部を構成する。内腹斜筋とともに鼠径管の天井(弓状部分)を形成し、後壁は腹横筋膜で覆われる。
ポイント
  • 鼠径管の壁:前=外腹斜筋腱膜、上=内腹斜筋・腹横筋、後=腹横筋膜(+内腹斜筋・腹横筋)、下=鼠径靱帯。
  • 覚え方のコツ: 鼠径管の壁は「側腹筋3層+鼠径靱帯」。腸腰筋は筋裂孔を通る「通過物」で、壁ではない。
  • 関連知識: 鼠径靱帯下方のトンネルは筋裂孔(外側、腸腰筋・大腿神経通過)と血管裂孔(内側、大腿動静脈通過)に分かれる。大腿ヘルニアは血管裂孔内側の大腿輪から脱出。
  • よくある間違い: 腸腰筋を鼠径管構成筋と誤認(腸腰筋は筋裂孔通過)/腹直筋を鼠径管壁と誤解(腹直筋は白線両側の縦走筋で鼠径管と離れる)。
  • 臨床応用: 鼠径管は腹壁抵抗の弱点でヘルニア好発部位。間接鼠径ヘルニアは深鼠径輪から、直接鼠径ヘルニアはヘッセルバッハ三角から脱出する。鍼灸では気衝・衝門などの経穴が近接し、刺鍼時の鼠径動静脈・大腿神経への注意が必要。
比較表
鼠径管の壁 構成要素
前壁 外腹斜筋の停止腱膜
上壁(弓状) 内腹斜筋・腹横筋の下縁(鼠径鎌)
後壁 腹横筋膜(内側部に腹直筋鞘・鼠径鎌が加わる)
下壁(底) 鼠径靱帯(外腹斜筋腱膜下縁が肥厚)
入口(腹腔側) 深鼠径輪(腹横筋膜の裂孔)
出口(外側) 浅鼠径輪(外腹斜筋腱膜の裂孔)
解説画像
あマ指 第15回(2007) 問題17|鼠径管の壁を構成しないのはどれか。 解説図
あマ指 第15回(2007) 問題17|鼠径管の壁を構成しないのはどれか。
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