学習トップ理由で解く 解剖学第10章 ▸ H. 体幹の筋 / Q0897

理由で解く 解剖学

Q0897 運動器系

出典:鍼灸 第28回(2020) 問題18
問題
背部の筋で正しいのはどれか。
選択肢
1 菱形筋は肩甲骨を上内方に引く。
2 板状筋は脊柱起立筋の一つである。
3 後頭下筋群は大後頭神経に支配される。
4 横突棘筋で長さが最も短いのは多裂筋である。
解答
正解1(菱形筋は肩甲骨を上内方に引く。)
解説
✓ 1. 正しい
菱形筋は肩甲骨を上内方に引く。
大・小菱形筋はともに胸椎・下位頸椎の棘突起から起こり肩甲骨内側縁に停止する浅背筋で、肩甲背神経(C5)支配。肩甲骨を「上内方に引き」、肩甲挙筋と協調して肩甲骨の関節窩を下方に向け、挙上した腕を下げるときなどに働く。僧帽筋の中部線維に覆われて位置する。
✗ 2. 誤り
板状筋は脊柱起立筋の一つである。
板状筋は深背筋第2層(固有背筋)に属するが、脊柱起立筋とは別の独立した筋として分類される。脊柱起立筋は「腸肋筋・最長筋・棘筋」の3筋の総称で、板状筋や横突棘筋(半棘筋・多裂筋・回旋筋)は脊柱起立筋に含まれない。
✗ 3. 誤り
後頭下筋群は大後頭神経に支配される。
後頭下筋群(大後頭直筋・小後頭直筋・上頭斜筋・下頭斜筋)の運動支配は「後頭下神経(C1後枝)」である。大後頭神経はC2後枝の皮枝で後頭部の皮膚感覚を担う感覚神経であり、筋の運動支配ではない。ただし下頭斜筋には一部大後頭神経の線維も関与するとされる。
✗ 4. 誤り
横突棘筋で長さが最も短いのは多裂筋である。
横突棘筋3筋の長さは「半棘筋>多裂筋>回旋筋」の順で、最も短いのは「回旋筋」である。半棘筋は頭頸部で発達し、多裂筋はより短く、回旋筋は横突起から直上の棘突起への最短距離を走る最深層筋として最も短い。
ポイント
  • 菱形筋(大・小)は肩甲骨内側縁に停止し、肩甲背神経支配で肩甲骨を上内方に引く。
  • 覚え方のコツ: 「肩甲挙筋+菱形筋=肩甲骨を上内方に引く2筋セット(いずれも肩甲背神経支配)」と暗記。
  • 関連知識: 横突棘筋の長さ順=半棘筋(4〜6椎分)>多裂筋(2〜4椎分)>回旋筋(1〜2椎分)。深くなるほど短くなる。後頭下神経=C1後枝(運動)、大後頭神経=C2後枝の皮枝(感覚)。
  • よくある間違い: 板状筋を脊柱起立筋と混同/後頭下筋を大後頭神経支配と混同/横突棘筋の最短を多裂筋とする誤り。
  • 臨床応用: 菱形筋は肩甲骨を内側に引き寄せ胸郭を開く姿勢保持筋で、猫背(円背)改善の運動療法で重視される。後頭下筋群は頭痛(後頭神経痛)に関与。
比較表
項目 正しい よくある誤り
菱形筋の作用 肩甲骨を上内方に引く 下方に引く
板状筋の分類 独立した固有背筋 脊柱起立筋に含まれる
後頭下筋の支配 後頭下神経(C1後枝) 大後頭神経(感覚のみ)
横突棘筋の最短 回旋筋 多裂筋
解説画像
鍼灸 第28回(2020) 問題18|背部の筋で正しいのはどれか。 解説図
鍼灸 第28回(2020) 問題18|背部の筋で正しいのはどれか。
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