学習トップ理由で解く 解剖学第10章 ▸ H. 体幹の筋 / Q0888

理由で解く 解剖学

Q0888 運動器系

出典:あマ指 第18回(2010) 問題22
問題
背部の筋とその支配神経との組合せで正しいのはどれか。
選択肢
1 広背筋 ― 肩甲背神経
2 僧帽筋 ― 長胸神経
3 菱形筋 ― 肩甲下神経
4 上後鋸筋 ― 肋間神経
解答
正解4(上後鋸筋 ― 肋間神経)
解説
✗ 1. 誤り
広背筋 ― 肩甲背神経
広背筋を支配するのは腕神経叢から出る胸背神経(C6〜C8)である。肩甲背神経は肩甲挙筋・大小菱形筋を支配する神経で対象が異なる。広背筋は腋窩動脈の枝である胸背動脈と同名の神経が伴走する。
✗ 2. 誤り
僧帽筋 ― 長胸神経
僧帽筋の運動支配は第XI脳神経(副神経)で、感覚・固有受容は第2〜4頸神経が担当する。長胸神経は前鋸筋を支配する神経で、僧帽筋とは関係しない。副神経麻痺では僧帽筋麻痺により肩の下垂や翼状肩甲が生じる。
✗ 3. 誤り
菱形筋 ― 肩甲下神経
大・小菱形筋と肩甲挙筋は肩甲背神経(C5)に支配される。肩甲下神経は腕神経叢後神経束から出て肩甲下筋と大円筋を支配する神経で、対象が異なる。
✓ 4. 正しい
上後鋸筋 ― 肋間神経
上後鋸筋は深背筋第1層(棘肋筋)に分類され、下後鋸筋とともに肋間神経の支配を受ける。これは発生学的に肋間筋と同じ筋群に由来するためで、脊髄神経後枝支配の固有背筋(第2層)とは明確に区別される。上後鋸筋は第5頸椎〜第2胸椎の棘突起から第2〜5肋骨に停止し肋骨を挙上する吸気補助筋、下後鋸筋は第10胸椎〜第2腰椎の棘突起から第9〜12肋骨に停止し肋骨を引き下げる呼気補助筋として働く。
ポイント
  • 背筋のうち深背筋第1層(上後鋸筋・下後鋸筋)は肋間神経支配。浅背筋は脳神経や腕神経叢の枝、固有背筋は脊髄神経後枝支配と整理する。
  • 覚え方のコツ: 「僧帽筋=副神経、広背筋=胸背神経、菱形筋=肩甲背神経」と浅背筋は1筋1神経で暗記。鋸筋は肋間と覚える。
  • 関連知識: 前鋸筋=長胸神経、肩甲下筋・大円筋=肩甲下神経。鋸筋でも前鋸筋(浅胸筋)と上・下後鋸筋(棘肋筋)は支配神経が異なる点に注意。
  • よくある間違い: 「鋸」の字で前鋸筋と後鋸筋を混同/広背筋を名前から肩甲背神経支配と誤る/菱形筋を肩甲下神経支配と混同する。
  • 臨床応用: 副神経麻痺(頸部郭清術後など)で僧帽筋麻痺・肩下垂・翼状肩甲。長胸神経麻痺で前鋸筋麻痺・翼状肩甲。部位と症状で鑑別できる。
比較表
筋名 所属 支配神経
僧帽筋 浅背筋 副神経+C2〜4
広背筋 浅背筋 胸背神経(C6〜8)
菱形筋・肩甲挙筋 浅背筋 肩甲背神経(C5)
上・下後鋸筋 深背筋第1層 肋間神経
固有背筋(脊柱起立筋等) 深背筋第2層 脊髄神経後枝
解説画像
あマ指 第18回(2010) 問題22|背部の筋とその支配神経との組合せで正しいのはどれか。 解説図
あマ指 第18回(2010) 問題22|背部の筋とその支配神経との組合せで正しいのはどれか。
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