
この図の解説
図は右股関節を開いて、大腿骨頭を寛骨臼から引き出した状態である。まず中央の球状の大腿骨頭に注目する。骨頭のくぼみ(中心窩)と寛骨臼の底とをつなぐように張る短い索状構造が大腿骨頭靭帯で、これは関節包の内側にある関節内靭帯である。この靭帯の役割は機械的な補強よりも血行路の確保にあり、寛骨臼の下縁を走る閉鎖動脈の枝を関節内に導いて骨頭を養う。骨頭のまわりを縁取る線維軟骨が寛骨臼唇で、臼を深くして安定を高める。骨頭の外側では、関節包の表面を斜めに走る太い線維束が確認できる。上前方の腸骨大腿靭帯(Y字靭帯)、下方の恥骨大腿靭帯、後方の坐骨大腿靭帯という関節包外の3靭帯を、それぞれ付着する骨の名でたどると位置関係が整理できる。図の右側には閉鎖膜・閉鎖管も描かれ、閉鎖動脈の走行経路をイメージしやすい。
学習の要点
- 大腿骨頭靭帯は大腿骨頭(中心窩)と寛骨臼底(寛骨臼窩)を結ぶ関節内靭帯で、その中を骨頭の栄養血管が通る。血管の主体は閉鎖動脈の枝である。
- 覚え方のコツ:股関節の4靭帯は「頭・腸・恥・坐」。関節の内にあるのは大腿骨頭靭帯だけ、残る腸骨大腿・恥骨大腿・坐骨大腿は関節包の外で名前の骨から大腿骨へ張る。
- 関連知識:股関節は大腿骨頭が寛骨臼にはまる臼状関節で、深く安定するが可動域は肩関節より狭い。関節包は転子間線に付き、大腿骨頸は関節腔内にあって骨膜を欠く。
- よくある間違い:最も強靭な靭帯を大腿骨頭靭帯と取り違えやすい。人体最強で前上方を補強するのは腸骨大腿靭帯(Y字靭帯)である。大腿骨頭靭帯は補強力より血行路が主役。
- 臨床応用:成人では骨頭靭帯内の血管が退化・閉塞するため、大腿骨頸部骨折では骨頭への血行が乏しくなり骨頭壊死を起こしやすい。頸部は骨膜を欠くことも治癒を遅らせる。
比較表
確認問題(その場で確認・記録には残りません)
大腿骨頭がはまり込む、寛骨の外側面にある深い半球状のくぼみを( )という。
答えを見る
答え: 寛骨臼
※ 確認問題はその場の理解確認用で、復習スケジュール(FSRS)には記録されません。