学習トップ理由で解く 解剖学第10章 ▸ F. 下肢の骨格 / Q0821

理由で解く 解剖学

Q0821 運動器系

出典:鍼灸 第3回(1995) 問題17
問題
大坐骨孔について誤っている記述はどれか。
選択肢
1 大坐骨切痕と仙結節靭帯とで形成される。
2 大坐骨切痕は坐骨と腸骨とによって形成される。
3 梨状筋によって上下の2 孔に分けられる。
4 上殿神経が梨状筋上孔を通る。
解答
正解1(大坐骨切痕と仙結節靭帯とで形成される。)
解説
✓ 1. 誤り
大坐骨切痕と仙結節靭帯とで形成される。
この記述は誤り。大坐骨孔は大坐骨切痕と「仙棘靱帯」で囲まれてできる孔であり、仙結節靱帯ではない。坐骨棘と仙骨・尾骨の間に張る仙棘靱帯が大坐骨切痕の下縁を閉じることで大坐骨孔が完成する。一方の仙結節靱帯は坐骨結節と仙骨をつなぐ靭帯で、小坐骨孔の後下壁を形成する。本問は誤っている記述を選ぶ問題のため、仙棘靱帯と仙結節靱帯の役割を取り違えたこの記述が正解となる。
✗ 2.
大坐骨切痕は坐骨と腸骨とによって形成される。
✗ 正しい。 この記述は正しい。大坐骨切痕は寛骨後縁の凹みで、上方は腸骨の後縁(下後腸骨棘の下方)、下方は坐骨の坐骨棘により構成される。つまり寛骨を構成する3骨のうち腸骨と坐骨の両方の骨縁から形成される。坐骨棘より下方にはさらに小坐骨切痕が続き、両切痕は坐骨棘により隔てられる。
✗ 3.
梨状筋によって上下の2 孔に分けられる。
✗ 正しい。 この記述は正しい。梨状筋は仙骨前面から大坐骨孔を通って大転子に至る。孔を横切る形で走るため、大坐骨孔は梨状筋によって上下に二分され、上方を梨状筋上孔、下方を梨状筋下孔と呼ぶ。それぞれを通過する神経・血管の構成は殿部解剖の頻出事項である。
✗ 4.
上殿神経が梨状筋上孔を通る。
✗ 正しい。 この記述は正しい。梨状筋上孔は上殿動静脈と上殿神経(L4〜S1)の通路となり、小殿筋・中殿筋・大腿筋膜張筋を支配する。一方、梨状筋下孔は坐骨神経・下殿神経・下殿動静脈・陰部神経・内陰部動静脈・後大腿皮神経が通る。上殿神経は上孔、ほかはほぼ下孔という対比で整理される。
ポイント
  • 大坐骨孔は大坐骨切痕+仙棘靱帯、小坐骨孔は小坐骨切痕+仙棘靱帯+仙結節靱帯で構成される。大坐骨孔は梨状筋で上下に二分され、上孔を上殿神経・血管、下孔を坐骨神経・下殿神経・陰部神経などが通る。
  • 覚え方のコツ: 「大=棘のみ、小=棘+結節」で暗記。大坐骨孔を隔てる梨状筋の「上=上殿のみ」「下=坐骨神経ほか多数」と対で覚える。
  • 関連知識: 仙棘靱帯は坐骨棘―仙骨、仙結節靱帯は坐骨結節―仙骨をつなぐ。梨状筋下孔を出た坐骨神経は殿部中央でやや内側を下行し、大腿後面へ向かう。
  • よくある間違い: 仙棘靱帯と仙結節靱帯を混同し、大坐骨孔を仙結節靱帯で閉じると誤答/梨状筋上孔を通る神経を坐骨神経と取り違える/上殿神経が下孔を通ると勘違いする。
  • 臨床応用: 梨状筋症候群では、梨状筋下孔で坐骨神経が圧迫され殿部痛と下肢放散痛を生じる。殿部への筋肉注射では梨状筋上孔を通る上殿神経・血管の損傷を避けるため、殿部上外側1/4を穿刺部位として選択する。
比較表
項目 大坐骨孔 小坐骨孔
骨性縁 大坐骨切痕(腸骨・坐骨) 小坐骨切痕(坐骨)
閉じる靱帯 仙棘靱帯 仙棘靱帯+仙結節靱帯
横切る筋 梨状筋(上下に二分) 内閉鎖筋腱
通過する主な構造 上孔:上殿神経・血管/下孔:坐骨神経・下殿神経・陰部神経 陰部神経・内陰部動静脈・内閉鎖筋腱
解説画像
鍼灸 第3回(1995) 問題17|大坐骨孔について誤っている記述はどれか。 解説図
鍼灸 第3回(1995) 問題17|大坐骨孔について誤っている記述はどれか。
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