学習トップ理由で解く 解剖学第10章 ▸ D. 胸郭 / Q0795

理由で解く 解剖学

Q0795 運動器系

出典:あマ指 第9回(2001) 問題37
問題
胸郭上口を通らないのはどれか。
選択肢
1 迷走神経
2 副神経
3 横隔神経
4 交感神経幹
解答
正解2(副神経)
解説
✗ 1.
迷走神経
✗ 正しい。 迷走神経は延髄から出て頸部を下行し、頸動脈鞘の中(内頸動脈・総頸動脈と内頸静脈の間)を通って胸郭上口から胸腔内に入る。胸腔内で気管・食道・心臓・肺を支配し、さらに横隔膜の食道裂孔を通って腹腔に達し最大の副交感性内臓神経として機能するため、胸郭上口を通過する。
✓ 2. 誤り
副神経
副神経(第XI脳神経)は頸静脈孔から頭蓋外に出た後、胸鎖乳突筋と僧帽筋を支配する運動神経であり、頸部でこれら2筋に終わる。支配範囲は頸部に限局し、胸腔内に入らないため胸郭上口を通過しない。したがって本問の正解。胸郭上口を通過する脳神経は「迷走神経(X)」と、交感神経幹からの「内臓神経・心臓神経」のみで、副神経は頭頸部止まりと押さえる。また頸部から上肢に向かう腕神経叢や鎖骨下動静脈は胸郭上口の外縁(斜角筋隙)を通るが、副神経はこれらとも経路が異なる。
✗ 3.
横隔神経
✗ 正しい。 横隔神経(C3〜C5)は頸部で前斜角筋の前面を下行し、鎖骨下動脈の前で胸郭上口から胸腔内に入り、縦隔を通って横隔膜に達する。横隔膜の運動支配と中心腱付近の感覚を担うため、胸郭上口を通過する。
✗ 4.
交感神経幹
✗ 正しい。 交感神経幹は椎体の前外側面を縦走し、頸部・胸部・腰部・仙骨部まで連続する。頸部交感神経幹から胸部交感神経幹への連絡は胸郭上口を通って行われ(左右の星状神経節は胸郭上口付近に存在)、全身の交感神経節を連結しているため胸郭上口を通過する。
ポイント
  • 副神経(XI)は頸部の胸鎖乳突筋・僧帽筋のみを支配する運動神経で、胸郭上口を通らない。迷走神経・横隔神経・交感神経幹は胸郭上口を通過。
  • 覚え方のコツ: 胸郭上口を通る「脳神経・自律神経」は「迷走・交感幹・横隔」の3つ、副神経は「頸部で終わる」と3+1で対比して記憶。
  • 関連知識: 胸郭上口の境界は、前=胸骨柄上縁、後=第1胸椎、外側=第1肋骨で構成され、気管・食道・血管(鎖骨下動静脈・内胸動脈)・神経(迷走・横隔・交感幹・反回神経)が通る。
  • よくある間違い: 副神経を迷走神経と混同して「Xグループ」として扱う/横隔神経が胸腔内に入らないと思い込む/交感神経幹が頸部で途切れると勘違いする。
  • 臨床応用: 頸部リンパ節郭清術で副神経を損傷すると僧帽筋麻痺により肩甲骨の翼状変形・挙上困難が生じる。胸郭出口症候群は斜角筋隙や肋鎖間隙で腕神経叢・鎖骨下動静脈が圧迫される疾患。
比較表
構造 胸郭上口通過 走行の要点
迷走神経(X) 通る 頸動脈鞘内を下行し胸腔・腹腔へ
副神経(XI) 通らない 頸静脈孔→頸部の胸鎖乳突筋・僧帽筋で終わる
横隔神経(C3〜C5) 通る 前斜角筋前面→縦隔→横隔膜
交感神経幹 通る 椎体前外側面を頸部〜仙骨部まで縦走
気管・食道 通る 正中部を下行
解説画像
あマ指 第9回(2001) 問題37|胸郭上口を通らないのはどれか。 解説図
あマ指 第9回(2001) 問題37|胸郭上口を通らないのはどれか。
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