学習トップ理由で解く 解剖学第10章 ▸ C. 脊柱 / Q0787

理由で解く 解剖学

Q0787 運動器系

出典:鍼灸 第20回(2012) 問題18
問題
脊柱の靱帯について正しい記述はどれか。
選択肢
1 黄色靱帯は椎体の後面にある。
2 環椎横靱帯は歯突起の後面にある。
3 項靭帯は椎間円板の前面にある。
4 後縦靱帯は椎孔の背側にある。
解答
正解2(環椎横靱帯は歯突起の後面にある。)
解説
✗ 1. 誤り
黄色靱帯は椎体の後面にある。
黄色靭帯は椎弓(椎弓板)の間を連結する靭帯であり、椎体の後面ではない。椎体の後面にあるのは後縦靭帯である。黄色靭帯は弾性線維に富み淡黄色を呈し、椎弓に挟まれて脊柱管の後壁を構成する。
✓ 2. 正しい
環椎横靱帯は歯突起の後面にある。
環椎横靱帯は環椎(C1)の椎孔内を水平方向に張り、前弓の内面に入り込んだ軸椎歯突起の後面を押さえつける靭帯である。この靭帯は歯突起が後方へ脱臼して脊髄を圧迫するのを防ぐ。環椎横靭帯には上下に伸びる縦束が加わり、両者で十字形を呈するため環椎十字靭帯と総称される。関節運動では、歯突起を軸に環椎が水平回旋する正中環軸関節(車軸関節)の安定化に働く。
✗ 3. 誤り
項靭帯は椎間円板の前面にある。
項靭帯は頸部において棘上靱帯が幅広く厚くなったもので、外後頭隆起および頸椎棘突起の先端を縦に結ぶ。棘突起先端にあるので椎間円板の前面とは無関係であり、椎間円板の前面を縦走するのは前縦靭帯である。
✗ 4. 誤り
後縦靱帯は椎孔の背側にある。
後縦靭帯は椎体および椎間円板の後面、すなわち椎孔の腹側(前壁)を縦走する。椎孔の背側(後壁)を構成するのは黄色靭帯および椎弓である。椎孔の内腔にある脊髄から見ると、後縦靭帯は前方、黄色靭帯は後方となる。
ポイント
  • 環椎横靭帯は軸椎歯突起の後面を抑えて正中環軸関節を安定化する。縦束と合わせて十字形を呈し、環椎十字靭帯と総称される。
  • 覚え方のコツ: 脊柱管内での位置は「前から後へ:椎体→後縦靭帯→脊髄→黄色靭帯→椎弓」と順序で記憶。頸部だけは棘上靭帯が項靭帯に格上げされる。
  • 関連知識: 歯突起は前方では環椎前弓内面(歯突起窩)と正中環軸関節をなし、後方では環椎横靭帯で押さえられる。翼状靭帯は歯突起側面と後頭顆を結び、頸部回旋を制限する。
  • よくある間違い: 後縦靭帯の位置を椎孔の背側と誤る(腹側が正しい)/項靭帯を椎体前面の構造と勘違いする/黄色靭帯を椎体と結びつける(正しくは椎弓間)。
  • 臨床応用: 環椎横靭帯が関節リウマチで破綻すると環軸関節亜脱臼を生じ、歯突起が後方偏位して脊髄を圧迫し四肢麻痺を起こしうる。頭部のX線側面像でADI(atlantodental interval)の拡大が診断に用いられる。
比較表
靭帯 走行部位 機能
前縦靭帯 椎体・椎間円板の前面 過伸展(後屈)制限
後縦靭帯 椎体・椎間円板の後面=椎孔の腹側 過屈曲制限
黄色靭帯 上下椎弓板の間=椎孔の背側 弾性力で前屈後に椎弓を戻す
棘上靭帯/項靭帯 棘突起先端(頸部で項靭帯) 過屈曲制限
環椎横靭帯 環椎椎孔内、歯突起後面 歯突起を前弓に押さえる
翼状靭帯 歯突起側面-後頭顆 過回旋制限
解説画像
鍼灸 第20回(2012) 問題18|脊柱の靱帯について正しい記述はどれか。 解説図
鍼灸 第20回(2012) 問題18|脊柱の靱帯について正しい記述はどれか。
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