学習トップ理由で解く 解剖学第8章 ▸ I. 脳神経 / Q0603

理由で解く 解剖学

Q0603 神経系

出典:あマ指 第21回(2013) 問題31
問題
舌の前の味覚をつかさどるのはどれか。
選択肢
1 三叉神経
2 顔面神経
3 舌咽神経
4 迷走神経
解答
正解2(顔面神経)
解説
✗ 1. 誤り
三叉神経
三叉神経(V)のうち下顎神経の枝である舌神経は、舌前2/3の「一般感覚(触・痛・温覚)」を担うが味覚は担当しない。ただし途中で顔面神経の枝である鼓索神経が合流するため、臨床的には下顎神経損傷で味覚障害が同時に生じうる点に注意する。
✓ 2. 正しい
顔面神経
顔面神経(VII)は顔面神経管を走行する途中で枝を出し、そのうち鼓索神経が舌前2/3の「特殊感覚=味覚」を担う。鼓索神経は鼓室を横切り側頭下窩で下顎神経の枝である舌神経に合流して舌に到達するため、味覚線維だけ VII、一般感覚線維は V3 という二重支配の形になる。味覚一次ニューロンの細胞体は膝神経節にあり、中枢では延髄の孤束核に入る。したがって中耳炎や耳下腺手術後に味覚障害が出ると、VII の枝(鼓索神経)障害が疑われる。
✗ 3. 誤り
舌咽神経
舌咽神経(IX)は舌「後ろ1/3」の味覚と一般感覚をまとめて担当する。有郭乳頭を含む舌根部の味覚と舌根粘膜の知覚を支配し、前2/3は範囲外。舌全体を前後で前2/3=VII、後1/3=IX と分けるのが基本の整理である。
✗ 4. 誤り
迷走神経
迷走神経(X)は喉頭蓋や咽頭後壁など「舌より奥」の味覚を上喉頭神経内枝を介してわずかに担うが、舌そのものの味覚には関与しない。舌の味覚分布は前2/3=VII、後1/3=IX、喉頭蓋以遠=X と場所で分かれる。
ポイント
  • 舌前2/3の味覚は顔面神経(VII)の鼓索神経が担当する。一般感覚(触・痛・温)は下顎神経(V3)の舌神経が担う二重支配。
  • 覚え方のコツ: 「味覚の順番 7・9・10」。前2/3=VII、後1/3=IX、喉頭蓋以遠=X。番号が奥に行くほど大きくなる。
  • 関連知識: 鼓索神経は舌神経に合流して舌前2/3へ、同時に副交感を顎下神経節へ運び顎下腺・舌下腺の分泌も支配する。味覚と唾液分泌の両方を担う枝。
  • よくある間違い: 舌前2/3の一般感覚と味覚を同じ神経と誤認するミス。「同じ場所でも感覚の種類ごとに神経が違う」が要点。
  • 臨床応用: ベル麻痺(末梢性顔面神経麻痺)では表情筋麻痺に加え、鼓索神経が巻き込まれると舌前2/3の味覚障害と涙腺・唾液分泌低下を伴う。病変部位の診断に役立つ。
比較表
部位 一般感覚 味覚
舌前2/3 V3(舌神経) VII(鼓索神経)
舌後1/3 IX(舌咽神経) IX(舌咽神経)
喉頭蓋周辺 X(迷走神経) X(上喉頭神経内枝)
解説画像
あマ指 第21回(2013) 問題31|舌の前の味覚をつかさどるのはどれか。 解説図
あマ指 第21回(2013) 問題31|舌の前の味覚をつかさどるのはどれか。
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