学習トップ理由で解く 解剖学第8章 ▸ I. 脳神経 / Q0591

理由で解く 解剖学

Q0591 神経系

出典:鍼灸 第16回(2008) 問題19
問題
筋とその支配神経との組合せで正しいのはどれか。
選択肢
1 上斜筋 ― 動眼神経
2 側頭筋 ― 上顎神経
3 広頚筋 ― 顔面神経
4 舌筋 ― 舌咽神経
解答
正解3(広頚筋 ― 顔面神経)
解説
✗ 1. 誤り
上斜筋 ― 動眼神経
上斜筋の支配は滑車神経IV(上眼窩裂通過)が正しく、動眼神経IIIではない。動眼神経は「上斜筋・外側直筋以外の4つの外眼筋(上直筋・下直筋・内側直筋・下斜筋)+上眼瞼挙筋+瞳孔括約筋+毛様体筋」を支配する。外眼筋6筋の支配は LR6 SO4、残りIII の規則で整理される。
✗ 2. 誤り
側頭筋 ― 上顎神経
側頭筋は下顎を挙上する咀嚼筋の一つで、三叉神経の運動根を含む第3枝(下顎神経V3、卵円孔通過)に支配される。上顎神経V2は正円孔を通る純感覚性の神経のため、いかなる筋も支配せず、頬・上顎歯・上唇などの一般感覚のみを担う。
✓ 3. 正しい
広頚筋 ― 顔面神経
広頚筋は頸部前面を覆う薄い皮筋で、発生学的には第2鰓弓由来のため、他の表情筋群とともに顔面神経VIIの頸枝に支配される。顔面神経が耳下腺を貫いたのち、頸部で最も下方に分岐する枝が頸枝にあたる。口角の下制や下顎部・頸部皮膚の緊張を担う。したがって本選択肢は正しい。
✗ 4. 誤り
舌筋 ― 舌咽神経
舌筋(内舌筋・外舌筋)の運動支配はすべて舌下神経XIIが行い、舌咽神経IXではない。舌咽神経は舌後1/3の感覚(一般感覚と味覚)と茎突咽頭筋の運動を担当するが、舌筋そのものの運動には関与しない。
ポイント
  • 広頚筋は「頸部に広がる表情筋」であり、発生学的起源(第2鰓弓)に従って顔面神経VIIに支配される。場所は頸部でも神経支配は顔面神経という点が引っかけポイントとなる。
  • 覚え方のコツ: 「表情筋の下端は頸部まで広頚筋として広がる」と場所で記憶し、「神経支配は発生学的起源(第2鰓弓)で決まるため顔面神経」と由来で納得する。
  • 関連知識: 顔面神経の末梢枝は耳下腺内で鵞足(pes anserinus)と呼ばれる扇状に分かれ、側頭枝・頬骨枝・頬筋枝・下顎縁枝・頸枝の5枝として表情筋を支配する。頸枝が広頚筋を支配する枝にあたる。
  • よくある間違い: 「頸部にあるから頸神経叢の支配」と場所で判断する誤り(広頚筋は表情筋由来のためVII支配)/舌咽神経IXに舌筋運動を結びつける誤り/V2上顎神経に運動機能があると思い込む誤り。
  • 臨床応用: 末梢性顔面神経麻痺では下顎縁枝・頸枝の障害により広頚筋の収縮が低下し、食いしばり時に頸部皮膚の緊張(広頚筋徴候)が麻痺側で消失する。回復期の判定指標にもなる。
解説画像
鍼灸 第16回(2008) 問題19|筋とその支配神経との組合せで正しいのはどれか。 解説図
鍼灸 第16回(2008) 問題19|筋とその支配神経との組合せで正しいのはどれか。
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