学習トップ理由で解く 解剖学第8章 ▸ I. 脳神経 / Q0588

理由で解く 解剖学

Q0588 神経系

出典:あマ指 第14回(2006) 問題21
問題
舌筋の運動を支配する神経はどれか。
選択肢
1 舌神経
2 舌咽神経
3 迷走神経
4 舌下神経
解答
正解4(舌下神経)
解説
✗ 1. 誤り
舌神経
舌神経は三叉神経第3枝(下顎神経V3)の枝で、舌前2/3の一般感覚(触覚・痛覚・温度覚)を担う。途中で顔面神経由来の鼓索神経が合流し、舌前2/3の味覚線維と顎下・舌下腺への副交感線維を運ぶ合流枝となる。しかし舌筋の運動支配はしない。
✗ 2. 誤り
舌咽神経
舌咽神経IXは舌後1/3の味覚と一般感覚を担当するほか、茎突咽頭筋の運動と耳下腺への副交感分泌を司るが、舌筋そのものの運動は支配しない。名称に「舌」が含まれるため紛らわしいが、支配域は咽頭側である。
✗ 3. 誤り
迷走神経
迷走神経Xは咽頭筋・喉頭筋の運動(嚥下・発声)と胸腹部内臓の副交感支配が中心で、舌筋の運動には関与しない。ただし舌根の一部の感覚(喉頭蓋近傍)は迷走神経が伝える。
✓ 4. 正しい
舌下神経
舌下神経XIIは延髄の舌下神経核から起こり、後頭骨の舌下神経管を通って頭蓋外へ出る。咽頭外側を下行したのち下方から舌内に進入し、内舌筋(上・下縦舌筋・横舌筋・垂直舌筋)および外舌筋(オトガイ舌筋・舌骨舌筋・茎突舌筋)の運動をすべて支配する。味覚や感覚は一切含まず、純運動性の脳神経である点が重要である。口蓋舌筋のみは例外的に迷走神経(咽頭神経叢)支配で、発生学的には咽頭筋に属する。
ポイント
  • 舌の神経支配は「運動=XII舌下神経」「感覚=前2/3がV3三叉神経(舌神経)+後1/3がIX舌咽神経」「味覚=前2/3がVII顔面神経(鼓索神経)+後1/3がIX舌咽神経」の3系統で分担される。
  • 覚え方のコツ: 「舌の運動=12番(舌下神経)、1本の神経で全筋支配」と覚える。番号順に「12=舌下」「前舌の感覚はV3・味はVII」「後舌はIXひとりで感覚も味も担当」と整理。
  • 関連知識: 舌下神経は舌下神経管を出たのち頸動脈三角で下行し、舌骨大角の上を前方へ曲がって舌に進入する。頸神経ワナ(ansa cervicalis)のループ形成に参加し、舌骨下筋群の一部を支配する運動線維を分けるが、これは頸神経C1由来の線維が一緒に走行しているもので、舌下神経本来の機能ではない。
  • よくある間違い: 「舌神経=舌の運動神経」と名前で誤解する誤り(舌神経は下顎神経の枝で一般感覚のみ)/「舌咽神経が舌全体を支配する」と誤解する誤り(舌咽神経の舌支配は後1/3のみ)/口蓋舌筋だけは迷走神経支配という例外を見落とす誤り。
  • 臨床応用: 一側性の舌下神経麻痺では、舌を突出させると舌尖が麻痺側へ偏位する(健側オトガイ舌筋が優位に働くため)。慢性麻痺では舌の萎縮と線維束性収縮(fasciculation)が観察される。延髄梗塞や頭蓋底腫瘍で障害されうる。
比較表
機能 舌前2/3 舌後1/3 舌根(喉頭蓋近傍)
運動 XII 舌下神経(全舌筋共通、口蓋舌筋のみX) 同左 同左
一般感覚 V3 三叉神経(舌神経) IX 舌咽神経 X 迷走神経
特殊感覚(味覚) VII 顔面神経(鼓索神経→舌神経経由) IX 舌咽神経 X 迷走神経(少数)
解説画像
あマ指 第14回(2006) 問題21|舌筋の運動を支配する神経はどれか。 解説図
あマ指 第14回(2006) 問題21|舌筋の運動を支配する神経はどれか。
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