学習トップ理由で解く 解剖学第8章 ▸ I. 脳神経 / Q0587

理由で解く 解剖学

Q0587 神経系

出典:鍼灸 第13回(2005) 問題32
問題
滑車神経によって支配される筋はどれか。
選択肢
1 内側直筋
2 下斜筋
3 下直筋
4 上斜筋
解答
正解4(上斜筋)
解説
✗ 1. 誤り
内側直筋
内側直筋は眼球の内側に付着し、眼球の内転(鼻側への回旋)を担う外眼筋である。動眼神経III(中脳由来)に支配され、上直筋・下直筋・下斜筋・上眼瞼挙筋とともに「動眼神経の5筋」に含まれる。滑車神経ではない。
✗ 2. 誤り
下斜筋
下斜筋は眼窩下縁内側から起こり眼球外下方に付着する外眼筋で、眼球の外転・上転・外方回旋を担う。動眼神経IIIの下枝に支配される。同じ斜筋でも上斜筋と下斜筋で支配神経が異なる点が本問の引っかけポイントとなる。
✗ 3. 誤り
下直筋
下直筋は眼球下面に付着し、眼球の下転・内転・内方回旋を担う外眼筋である。動眼神経IIIに支配される。動眼神経麻痺では上直筋・下直筋・内側直筋・下斜筋が同時麻痺するため、外下方への複視や眼位のずれ(外転位)が生じる。
✓ 4. 正しい
上斜筋
上斜筋は眼窩上内側から起こり、前内側で滑車という線維輪をくぐって方向転換し、眼球上面外方に付着する外眼筋である。中脳背面から出る滑車神経IV(上眼窩裂を通過)に純粋に運動性のみの線維で支配され、眼球の下転・内転・内方回旋を行う。滑車神経は12対の脳神経の中で最も細く、唯一脳の背側から出る脳神経である点も重要な特徴。
ポイント
  • 外眼筋6筋の支配は「LR6 SO4 他はすべて3」とまとめられる。LR(外側直筋)=VI外転神経、SO(上斜筋)=IV滑車神経、残り4筋(上・下・内側直筋と下斜筋)=III動眼神経。
  • 覚え方のコツ: 英語圏の有名な語呂「LR6 SO4」(Lateral Rectus=CN6、Superior Oblique=CN4、The rest=CN3)。日本語では「ガイロク・ジョシャ=6・4」で記憶。
  • 関連知識: III・IV・VIの3つの眼球運動神経はすべて上眼窩裂を通って眼窩内に入る。さらに三叉神経第1枝(眼神経V1)も同じ上眼窩裂を通過するため、海綿静脈洞症候群では眼球運動障害+V1領域の感覚障害が併発しうる。
  • よくある間違い: 「斜筋は全部滑車神経」と誤解し下斜筋まで滑車神経支配としてしまう誤り(下斜筋は動眼神経)/上斜筋の運動方向を「上転」と誤解する誤り(実際は下転・内転・内方回旋)/「滑車」の語から関節運動の滑車を連想してしまう誤り(ここでは上斜筋の腱が通る線維性の小さな輪)。
  • 臨床応用: 滑車神経麻痺では上斜筋の麻痺により下転障害(特に内転位での下転)が生じ、階段を下りる際などの下方視で複視を訴える。代償性に頭部を健側へ傾ける首傾斜(Bielschowsky徴候)がみられることがある。
比較表
外眼筋 支配神経 主な作用
上直筋 III 動眼神経 上転・内転・内方回旋
下直筋 III 動眼神経 下転・内転・外方回旋
内側直筋 III 動眼神経 内転
下斜筋 III 動眼神経 上転・外転・外方回旋
上斜筋 IV 滑車神経 下転・内転・内方回旋
外側直筋 VI 外転神経 外転
解説画像
鍼灸 第13回(2005) 問題32|滑車神経によって支配される筋はどれか。 解説図
鍼灸 第13回(2005) 問題32|滑車神経によって支配される筋はどれか。
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