学習トップ理由で解く 解剖学第8章 ▸ I. 脳神経 / Q0585

理由で解く 解剖学

Q0585 神経系

出典:あマ指 第13回(2005) 問題35
問題
顔面神経の機能でないのはどれか。
選択肢
1 表情筋の運動
2 舌の前2/3 の味覚
3 涙腺の分泌
4 顔面の感覚
解答
正解4(顔面の感覚)
解説
✗ 1.
表情筋の運動
✗ 正しい。 顔面神経は内耳孔→内耳道→顔面神経管→茎乳突孔を経て頭蓋外へ出たあと、耳下腺実質を貫きながら放射状に分岐し、前頭・眼輪・頬・口輪・広頚筋など全ての表情筋を支配する。これは顔面神経の運動線維による本来の機能であり「顔面神経の機能である」。
✗ 2.
舌の前2/3 の味覚
✗ 正しい。 顔面神経管内で分岐した鼓索神経が下顎神経の枝(舌神経)に合流して舌前2/3の味蕾に分布し、味覚を中枢へ伝える。味覚一次ニューロンの細胞体は顔面神経管内の膝神経節にある。これも顔面神経の機能であり「機能である」。
✗ 3.
涙腺の分泌
✗ 正しい。 顔面神経管内で分岐する大錐体神経に副交感線維が含まれ、翼口蓋神経節でニューロンを交代したのち涙腺と鼻粘膜の腺に分布して分泌を支配する。したがって涙液分泌も顔面神経の機能であり「機能である」。
✓ 4. 誤り
顔面の感覚
顔面の皮膚・粘膜の体性感覚(触覚・痛覚・温度覚)は三叉神経(V1眼神経・V2上顎神経・V3下顎神経)が上方から下方へ3層に分担支配する。顔面神経は味覚という特殊感覚は伝えるが、顔面の一般感覚は伝えないため、これが「顔面神経の機能ではない」選択肢となる。顔面神経麻痺でも顔面の感覚は保たれ、三叉神経麻痺でも表情運動は保たれる点が鑑別の要。
ポイント
  • 顔面神経VIIは「表情筋の運動+舌前2/3味覚+涙腺・顎下腺・舌下腺・鼻粘膜の副交感分泌」の3機能を持つが、顔面の一般感覚は三叉神経Vが担当する。
  • 覚え方のコツ: 「顔面神経は顔面の感覚を担当しない」「顔の運動=VII、顔の感覚=V」とセット記憶。副交感3腺は「涙・鼻水・よだれ(顎下腺・舌下腺)=VII、耳下腺=IX」で二つの舌腺がVII、一つの耳下腺がIXと整理する。
  • 関連知識: 顔面神経の経路は内耳孔→内耳道→顔面神経管(中耳内壁を走行)→茎乳突孔→耳下腺貫通→表情筋。顔面神経管内では大錐体神経(涙腺分泌)・アブミ骨筋神経・鼓索神経(味覚+顎下腺・舌下腺分泌)の3本を順次分岐する。
  • よくある間違い: 「顔面=顔の感覚」と名前から直感的に勘違いする誤り/舌の味覚はすべてVIIと誤解する誤り(前2/3=VII、後1/3=IX)/耳下腺の分泌をVIIと誤解する誤り(耳下腺はIX舌咽神経・耳神経節経由)。
  • 臨床応用: 末梢性顔面神経麻痺(Bell麻痺・Ramsay Hunt症候群)では、損傷高位によって涙液減少・聴覚過敏(アブミ骨筋麻痺)・味覚障害の有無が異なり、障害部位の診断(局在診断)に用いられる。中枢性麻痺では前額は保たれ下顔面のみ麻痺となる(対側運動野の両側支配による)。
比較表
分岐部位 機能
顔面神経管内(近位) 大錐体神経 副交感(翼口蓋神経節経由で涙腺・鼻粘膜分泌)
顔面神経管内(中央) アブミ骨筋神経 運動(中耳アブミ骨筋の収縮→音の減衰)
顔面神経管内(遠位) 鼓索神経 特殊感覚(舌前2/3味覚)+副交感(顎下神経節経由で顎下腺・舌下腺分泌)
茎乳突孔以降 顔面神経本幹 運動(表情筋群)
解説画像
あマ指 第13回(2005) 問題35|顔面神経の機能でないのはどれか。 解説図
あマ指 第13回(2005) 問題35|顔面神経の機能でないのはどれか。
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