学習トップ理由で解く 解剖学第8章 ▸ I. 脳神経 / Q0583

理由で解く 解剖学

Q0583 神経系

出典:鍼灸 第12回(2004) 問題30
問題
毛様体筋を支配するのはどれか。
選択肢
1 動眼神経
2 滑車神経
3 外転神経
4 顔面神経
解答
正解1(動眼神経)
解説
✓ 1. 正しい
動眼神経
毛様体筋は動眼神経(III)の副交感線維が支配する眼内の平滑筋で、水晶体の厚みを調節して近見時の焦点を合わせる働きを持つ。経路はEdinger-Westphal核(中脳)→動眼神経→毛様体神経節で節後ニューロンに交代→短毛様体神経→毛様体筋と走る。毛様体筋が収縮するとチン小帯(毛様体小帯)が弛緩し、水晶体は自らの弾性で厚くなって屈折力が増し、近い物にピントが合う(近見調節)。逆に遠くを見るときは毛様体筋が弛緩しチン小帯が緊張して水晶体が薄くなる。毛様体筋を同時に支配する瞳孔括約筋(縮瞳)と組み合わせて「近見三徴(輻輳+縮瞳+調節)」が起こり、近距離の対象に対する焦点・光量・視軸の3つを同時に調節する高度な統合反応となる。
✗ 2. 誤り
滑車神経
滑車神経(IV)は上斜筋のみを支配する純運動性神経で、副交感線維を持たず、眼内平滑筋の毛様体筋には関与しない。外眼筋3神経(III・IV・VI)のうち眼内筋も同時支配するのはIII動眼神経だけ。
✗ 3. 誤り
外転神経
外転神経(VI)は外側直筋のみを支配する純運動性神経で、眼内平滑筋の毛様体筋には関与しない。橋下縁から出て斜台を上行し上眼窩裂を通る走行で、機能は眼球の外転に限定される。
✗ 4. 誤り
顔面神経
顔面神経(VII)の副交感線維は涙腺・鼻腺(大錐体神経経由)・顎下腺・舌下腺(鼓索神経経由)を支配するが、眼球内部の毛様体筋とは全く別の系統。眼内筋(瞳孔括約筋・毛様体筋)の副交感支配は動眼神経の独占領域。
ポイント
  • 毛様体筋は動眼神経(III)の副交感線維が毛様体神経節経由で支配する眼内平滑筋。近見時に収縮して水晶体を厚くし焦点調節を行う。
  • 覚え方のコツ: 動眼神経の副交感は「眼内2筋=瞳孔括約筋(縮瞳)+毛様体筋(近見調節)」とセットで覚える。近見三徴(輻輳・縮瞳・調節)はすべてIII動眼神経が関与。
  • 関連知識: 老視(老眼)は加齢に伴い水晶体の弾性が低下し、毛様体筋が収縮しても水晶体が十分厚くならなくなるため近見調節が困難となる現象。神経支配の異常ではなく水晶体の物理特性の問題。
  • よくある間違い: 毛様体「筋」と毛様体「神経節」を混同しがち。筋は眼内の平滑筋(効果器)、神経節は眼窩内の副交感神経節(中継点)で別物。
  • 臨床応用: 散瞳点眼薬(アトロピン・トロピカミド)はムスカリン受容体遮断により瞳孔括約筋と毛様体筋を同時に麻痺させ、散瞳+調節麻痺(視近物困難)を起こす。眼底検査で用いられる。
解説画像
鍼灸 第12回(2004) 問題30|毛様体筋を支配するのはどれか。 解説図
鍼灸 第12回(2004) 問題30|毛様体筋を支配するのはどれか。
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