学習トップ理由で解く 解剖学第8章 ▸ I. 脳神経 / Q0577

理由で解く 解剖学

Q0577 神経系

出典:鍼灸 第9回(2001) 問題32
問題
頸静脈孔を通るのはどれか。
選択肢
1 迷走神経
2 内耳神経
3 顔面神経
4 舌下神経
解答
正解1(迷走神経)
解説
✓ 1. 正しい
迷走神経
迷走神経(X)は舌咽神経(IX)・副神経(XI)とともに頸静脈孔を通って頭蓋外に出る。頸静脈孔は側頭骨錐体部と後頭骨の間に形成される孔で、頭蓋内側からは前部(神経部)に舌咽神経、中部(神経部)に迷走神経と副神経、後部(静脈部)に内頸静脈とS状静脈洞が通過する。迷走神経は頸静脈孔を出たのち内頸静脈と総頸動脈の間を下行し、縦隔を通り横隔膜を貫いて腹腔に達する最長の脳神経である。頸静脈孔通過の3神経(IX・X・XI)をまとめて「頸静脈孔三兄弟」と覚えるとよい。この3本が障害されると、嚥下障害(IX・X)、嗄声(X反回神経)、胸鎖乳突筋・僧帽筋麻痺(XI)を呈する「頸静脈孔症候群(Vernet症候群)」となる。
✗ 2. 誤り
内耳神経
内耳神経(VIII)は顔面神経(VII)とともに内耳孔から側頭骨錐体部内に入る。頸静脈孔ではなく内耳孔(内耳道の入口)が通路であり、場所が異なる。
✗ 3. 誤り
顔面神経
顔面神経(VII)は内耳孔から側頭骨内の顔面神経管に入り、膝状神経節で折れ曲がって茎乳突孔から頭蓋外に出る。頸静脈孔は通過しない。入口=内耳孔、出口=茎乳突孔と区別する。
✗ 4. 誤り
舌下神経
舌下神経(XII)は後頭骨の舌下神経管を通って頭蓋外に出る。頸静脈孔とは別の孔であり、頸静脈孔の内側後方に位置する。XIIだけ単独で通る孔を持つ点が特徴である。
ポイント
  • 頸静脈孔は舌咽神経(IX)・迷走神経(X)・副神経(XI)および内頸静脈・S状静脈洞が通過する。IX・X・XIの3神経は延髄外側から起こり並走する「頸静脈孔三兄弟」。
  • 覚え方のコツ: 延髄から出る脳神経を延髄の内側から外側へ順に「XII舌下→XI副→X迷走→IX舌咽」と並べ、IX・X・XIが頸静脈孔、XIIは舌下神経管と区別して覚える。
  • 関連知識: 頸静脈孔症候群(Vernet症候群)ではIX・X・XI麻痺で嚥下困難・嗄声・肩の挙上不能を呈する。頸静脈孔腫瘍(副神経節腫、glomus tumor)が原因となりやすい。
  • よくある間違い: 舌下神経も延髄から出るため頸静脈孔通過と誤認されやすいが、XIIは後頭骨の舌下神経管を単独で通過する点が重要。
  • 臨床応用: 頭蓋底外科手術では頸静脈孔周囲の3神経損傷を避けることが重要。損傷時はVernet症候群のほか、他の下位脳神経も巻き込まれてCollet-Sicard症候群となることもある。
比較表
頭蓋底の孔 通過する脳神経 その他の通過物
内耳孔 VII 顔面/VIII 内耳 内耳動脈
頸静脈孔 IX 舌咽/X 迷走/XI 副 内頸静脈・S状静脈洞
舌下神経管 XII 舌下 -
大後頭孔 - 延髄→脊髄・椎骨動脈
解説画像
鍼灸 第9回(2001) 問題32|頸静脈孔を通るのはどれか。 解説図
鍼灸 第9回(2001) 問題32|頸静脈孔を通るのはどれか。
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