学習トップ理由で解く 解剖学第8章 ▸ A. 神経系の構成 / Q0496

理由で解く 解剖学

Q0496 神経系

出典:鍼灸 第5回(1997) 問題28
問題
髄鞘を形成する細胞はどれか。
選択肢
1 星状膠細胞
2 プルキンエ細胞
3 シュワン細胞
4 線維芽細胞
解答
正解3(シュワン細胞)
解説
✗ 1. 誤り
星状膠細胞
星状膠細胞(アストロサイト)は中枢神経系の代表的な神経膠細胞で、神経細胞への栄養供給、血液脳関門の形成、細胞外液の環境維持、シナプス伝達の調節などに関与する。髄鞘形成は行わない。
✗ 2. 誤り
プルキンエ細胞
プルキンエ細胞は小脳皮質のプルキンエ細胞層に位置する大型の神経細胞で、扁平に広がる樹状突起を分子層に伸ばし、小脳皮質の唯一の出力ニューロンとして小脳核へGABA性の抑制性投射を送る。神経細胞であり、髄鞘を形成するグリア細胞ではない。
✓ 3. 正しい
シュワン細胞
髄鞘(ミエリン鞘)は軸索を幾重にも取り巻く脂質に富む絶縁層で、跳躍伝導を可能にして神経伝導速度を大幅に高める。髄鞘を形成するのは神経膠細胞で、末梢神経系ではシュワン細胞、中枢神経系ではオリゴデンドロサイト(希突起膠細胞)が担当する。シュワン細胞は1個につき1本の軸索の1セグメントのみに髄鞘を提供し、ランビエ絞輪と呼ばれる絞り目をはさんで縦に並ぶ。一方、中枢のオリゴデンドロサイトは1個で複数(最大40〜50本)の軸索に髄鞘を提供する。末梢では軸索損傷後にシュワン細胞が再生の足場となり、末梢神経の再生能力(中枢より高い)を支えている。
✗ 4. 誤り
線維芽細胞
線維芽細胞は結合組織の基本細胞で、膠原線維や細胞外基質を産生する間葉系由来の細胞である。神経組織ではなく結合組織の細胞であり、髄鞘形成には関与しない。
ポイント
  • 髄鞘は末梢ではシュワン細胞、中枢ではオリゴデンドロサイトが形成し、跳躍伝導により神経伝導速度を高める。
  • 覚え方のコツ: 「末梢=シュワン・1対1」「中枢=オリゴ・1対多」で対比記憶。アストロは栄養・バリア、ミクロは免疫、と役割分担を図式化。
  • 関連知識: 神経膠細胞には①オリゴデンドロサイト(中枢の髄鞘)、②シュワン細胞(末梢の髄鞘)、③アストロサイト(支持・BBB)、④ミクログリア(免疫・貪食)、⑤上衣細胞(脳室壁)がある。
  • よくある間違い: プルキンエ細胞は小脳の大型神経細胞で目立つが、髄鞘形成は行わないと明確に区別。シュワン細胞と「シュワン腫(末梢神経鞘腫)」は名前が紛らわしいが、腫瘍は臨床用語。
  • 臨床応用: 中枢の脱髄疾患=多発性硬化症(MS)・視神経脊髄炎、末梢の脱髄疾患=ギラン・バレー症候群・シャルコー・マリー・トゥース病。脱髄で伝導速度低下・ブロックが起こり、運動・感覚障害を呈する。
比較表
細胞種 所在 主な機能
シュワン細胞 末梢神経系 髄鞘形成(1個が1軸索の1セグメント)
オリゴデンドロサイト 中枢神経系 髄鞘形成(1個で複数軸索)
星状膠細胞(アストロサイト) 中枢神経系 栄養供給・血液脳関門・環境維持
ミクログリア 中枢神経系 免疫・貪食作用
上衣細胞 脳室・中心管壁 脳脊髄液の生成・循環
解説画像
鍼灸 第5回(1997) 問題28|髄鞘を形成する細胞はどれか。 解説図
鍼灸 第5回(1997) 問題28|髄鞘を形成する細胞はどれか。
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