学習トップ理由で解く 解剖学第7章 ▸ C. 甲状腺 / Q0467

理由で解く 解剖学

Q0467 内分泌系

出典:鍼灸 第11回(2003) 問題27
問題
甲状腺について正しい記述はどれか。
選択肢
1 甲状軟骨の上方に位置する。
2 前面に上皮小体がみられる。
3 多数の濾胞がある。
4 導管を有する。
解答
正解3(多数の濾胞がある。)
解説
✗ 1. 誤り
甲状軟骨の上方に位置する。
甲状腺は甲状軟骨の「上方」ではなく、甲状軟骨の前下面から第2〜4気管軟骨の前外側を覆うように位置する。甲状軟骨の上方には喉頭蓋や舌骨があり、甲状腺は喉頭より下方の頸部前面にある。
✗ 2. 誤り
前面に上皮小体がみられる。
上皮小体は甲状腺の前面ではなく「後面」に上下1対計4個が埋め込まれるように位置する。甲状腺手術で前面のみを扱っていると上皮小体の存在を見落とすため、後面の解剖知識は臨床的にも重要である。
✓ 3. 正しい
多数の濾胞がある。
甲状腺は単層立方上皮に囲まれた直径0.2mm前後の袋(濾胞)の無数の集まりからなり、濾胞腔はサイログロブリンを主成分とするコロイドで満たされる。必要に応じてコロイドからサイロキシン(T4)・トリヨードサイロニン(T3)が分泌され、全身の代謝を亢進させる。濾胞間には傍濾胞細胞(C細胞)が散在し、血中Caを下げるカルシトニンを分泌する。この濾胞構造は甲状腺組織像の最大の特徴であり、甲状腺癌の組織分類(乳頭癌・濾胞癌)の基礎ともなる。
✗ 4. 誤り
導管を有する。
甲状腺は導管をもたない純粋な内分泌腺で、ホルモンを血中へ直接放出する。発生学的には舌盲孔から下降する甲状舌管(上皮索)を導管とする外分泌腺として発生するが、この導管が早期に消失して内分泌腺となる。
ポイント
  • 甲状腺は濾胞上皮細胞に囲まれた多数の濾胞からなり、コロイド(サイログロブリン)を貯蔵・分泌する。
  • 覚え方のコツ: 「濾胞+コロイド+C細胞」の3点セットで甲状腺組織像を記憶。濾胞上皮はT4/T3、C細胞はカルシトニンを分泌。
  • 関連知識: 甲状腺は胎生期に舌背の原基(甲状舌管)から下降して頸部に定着。下降の途中で残った組織が正中頸嚢胞(甲状舌管嚢胞)や舌甲状腺として臨床的に見られる。
  • よくある間違い: 甲状腺に導管があると誤認する/上皮小体を前面にあると誤認する/甲状軟骨の上方にあると誤認する。
  • 臨床応用: 甲状腺癌には濾胞構造を反映した濾胞癌、乳頭状構造の乳頭癌、C細胞由来の髄様癌がある。超音波で低エコー・微細石灰化は悪性を疑う所見。
比較表
甲状腺の構成要素 位置 主産物
濾胞上皮細胞 濾胞壁(単層立方上皮) T4(サイロキシン)・T3
コロイド 濾胞腔内 サイログロブリン貯蔵
傍濾胞細胞(C細胞) 濾胞間の結合組織 カルシトニン(血中Ca低下)
解説画像
鍼灸 第11回(2003) 問題27|甲状腺について正しい記述はどれか。 解説図
鍼灸 第11回(2003) 問題27|甲状腺について正しい記述はどれか。
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