学習トップ理由で解く 解剖学第7章 ▸ A. 下垂体 / Q0452

理由で解く 解剖学

Q0452 内分泌系

出典:鍼灸 第7回(1999) 問題26
問題
下垂体について正しい記述はどれか。
選択肢
1 視神経交叉の前方に位置する。
2 下垂体門脈は視床下部と前葉とを連絡する。
3 後葉には多数の有髄神経線維がみられる。
4 中間葉は前葉と間脳との間に位置する。
解答
正解2(下垂体門脈は視床下部と前葉とを連絡する。)
解説
✗ 1. 誤り
視神経交叉の前方に位置する。
下垂体は視神経交叉の「後下方」、蝶形骨体上面のトルコ鞍(下垂体窩)の中に収まっている。視神経交叉の前方には前交通動脈・終板などが位置し、下垂体とは接しない。下垂体腺腫が上方に進展すると、その直上を走る視神経交叉を圧迫して両耳側半盲をきたす位置関係が臨床的に重要である。
✓ 2. 正しい
下垂体門脈は視床下部と前葉とを連絡する。
視床下部の神経細胞が放出ホルモン・抑制ホルモンを隆起部の第一次毛細血管網へ分泌し、これが門脈の小静脈を経て前葉の第二次毛細血管網に達することで、前葉ホルモン(GH・PRL・TSH・ACTH・FSH・LH)の分泌が液性に調節される。視床下部ホルモンは全身循環をバイパスして高濃度のまま前葉に直接届く仕組みであり、「視床下部—下垂体前葉系」という液性調節の基盤をなす解剖学的装置である。大脳動脈輪の枝が隆起部に入り一次網を、次いで小静脈群が下降して前葉で二次網を形成する順序が試験でも頻出する。
✗ 3. 誤り
後葉には多数の有髄神経線維がみられる。
後葉(神経性下垂体)は視床下部の視索上核・室傍核から下降してきた「無髄」の神経線維と、その軸索末端・支持細胞(ピツイサイト)からなる。有髄神経線維はみられず、軸索末端にはオキシトシン・バソプレシンを含む分泌顆粒(ヘリング小体)が蓄えられ神経分泌が行われる。
✗ 4. 誤り
中間葉は前葉と間脳との間に位置する。
中間部(中間葉)は腺性下垂体のうち前葉と後葉の「境界」に位置し、前葉と後葉(=神経性下垂体、間脳由来)の間にある。間脳との間ではなく、あくまで前葉の後方・後葉の前方という位置関係が正しい。中間部は濾胞からなりMSHを分泌するが、ヒトでの生理作用は明確でない。
ポイント
  • 下垂体門脈は視床下部(隆起部)と前葉を連絡する血管系で、視床下部の放出ホルモンを直接前葉へ届ける液性ルートとなる。
  • 覚え方のコツ: 「前葉=門脈(血管)/後葉=神経線維」の2ルートで記憶。前葉は血管を介した遠隔制御、後葉は軸索を介した直送制御とイメージで対比する。
  • 関連知識: 下垂体は蝶形骨のトルコ鞍に収まり、上方に視神経交叉、側方に海綿静脈洞・内頸動脈が走る。後葉の無髄神経線維は視床下部の視索上核・室傍核由来。
  • よくある間違い: 視神経交叉を下垂体の「前方」と勘違いする(実際は上方)/中間葉の位置を「前葉と間脳の間」と誤記する/後葉に腺細胞があると思い込む(後葉は神経線維と軸索末端のみ)。
  • 臨床応用: 下垂体腺腫が上方に進展すると直上の視神経交叉を圧迫し、両耳側半盲をきたす。GH産生腫瘍では末端肥大症、プロラクチノーマでは乳汁漏出・無月経が生じる。
比較表
項目 腺性下垂体(前葉・中間部) 神経性下垂体(後葉)
発生起源 原始口腔天井(ラトケ嚢、上皮性) 第3脳室底の突出(神経性、間脳由来)
構造 腺細胞の索状・塊状集団+毛細血管網 視床下部の無髄神経線維と軸索末端
視床下部との連絡 下垂体門脈系(血管性) 神経線維(漏斗を下降)
分泌細胞 前葉腺細胞(6種)+中間部濾胞細胞 腺細胞なし(視索上核・室傍核で産生)
主なホルモン GH・PRL・TSH・ACTH・FSH・LH・MSH オキシトシン・バソプレシン(ADH)
解説画像
鍼灸 第7回(1999) 問題26|下垂体について正しい記述はどれか。 解説図
鍼灸 第7回(1999) 問題26|下垂体について正しい記述はどれか。
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