学習トップ理由で解く 解剖学第7章 ▸ A. 下垂体 / Q0453

理由で解く 解剖学

Q0453 内分泌系

出典:鍼灸 第9回(2001) 問題22
問題
門脈系がみられる内分泌腺はどれか。
選択肢
1 松果体
2 下垂体
3 甲状腺
4 副腎
解答
正解2(下垂体)
解説
✗ 1. 誤り
松果体
松果体は間脳後上壁から突出する小体で、内部は脳軟膜からの結合組織が小葉に分け、毛細血管と無髄神経を伴う。通常の動静脈系の血行であり、門脈系(一次毛細血管網→小静脈→二次毛細血管網)は形成されない。松果体細胞はメラトニンを分泌し概日リズムを調節する。
✓ 2. 正しい
下垂体
腺性下垂体では大脳動脈輪からの枝が隆起部に入り第一次毛細血管網を形成し、いったん数本の小静脈に集まった後、隆起部を下降して前葉で第二次毛細血管網へ開く。この一次と二次の毛細血管網を結ぶ小静脈が門脈(下垂体門脈)と呼ばれ、これが腺性下垂体における下垂体門脈系である。この血管系により視床下部の放出ホルモンは全身循環をバイパスして高濃度のまま前葉に届き、前葉ホルモン(GH・PRL・TSH・ACTH・FSH・LH)の分泌を液性に調節する。肝門脈と並ぶ「2つの門脈系」として記憶される代表例である。
✗ 3. 誤り
甲状腺
甲状腺は上甲状腺動脈(外頸動脈の枝)と下甲状腺動脈(甲状頸動脈の枝)に富み、血流量は臓器重量比で最大級だが、動脈→毛細血管→静脈という通常の血行パターンをとり、門脈系は形成しない。甲状腺ホルモンT3・T4は濾胞細胞、カルシトニンは傍濾胞細胞から分泌される。
✗ 4. 誤り
副腎
副腎は上・中・下副腎動脈から豊富な動脈血を受け、皮質(球状層・束状層・網状層)の毛細血管網が髄質へ連続する「皮質→髄質」の血流が特徴的だが、これは門脈系ではない。門脈系は一次と二次の毛細血管網を小静脈で連絡する構造と定義され、副腎にはあてはまらない。
ポイント
  • 下垂体門脈系は、視床下部→隆起部(一次網)→小静脈→前葉(二次網)と流れ、視床下部の放出ホルモンを前葉に直接届ける腺性下垂体固有の血管系である。
  • 覚え方のコツ: 「門脈は肝と下垂体の2つ」と2語セットで暗記。肝門脈=消化管ホルモンや栄養の輸送、下垂体門脈=視床下部ホルモンの前葉送達と対比。
  • 関連知識: 門脈系の定義は「2つの毛細血管網を静脈で連絡する血管系」。神経性下垂体(後葉)には門脈系はなく、視床下部の神経線維が直接ホルモンを運ぶ。
  • よくある間違い: 「下垂体後葉に門脈系がある」と誤認する/副腎の皮髄連絡血流を門脈と混同する/「血管が豊富=門脈系」と短絡して甲状腺を選んでしまう。
  • 臨床応用: 下垂体茎離断(外傷・腫瘍)で下垂体門脈系が遮断されると、視床下部ホルモンが前葉に届かず汎下垂体機能低下症をきたす。ドーパミン欠如でプロラクチンのみ上昇する点が特徴。
比較表
門脈系 部位 経路 意義
肝門脈 消化管・脾 → 肝 腸管毛細血管 → 門脈 → 肝洞様毛細血管 栄養・消化管ホルモンを肝へ送る
下垂体門脈 視床下部(隆起部)→ 下垂体前葉 一次毛細血管網 → 小静脈 → 二次毛細血管網 視床下部放出ホルモンを前葉へ送る
解説画像
鍼灸 第9回(2001) 問題22|門脈系がみられる内分泌腺はどれか。 解説図
鍼灸 第9回(2001) 問題22|門脈系がみられる内分泌腺はどれか。
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