
この図の解説
図は、卵管膨大部で卵子に到達した精子が卵内へ侵入するまでを、外側から順に①〜⑥の段階で描いている。まず注目すべきは、卵子を包む三層構造である。いちばん外側が放線冠(顆粒膜細胞)、その内側が均質な透明帯、中心が卵細胞(卵子)で、精子はこの外側から内へと突き進む。①放線冠への進入では、精子が先体から放出するヒアルロニダーゼが顆粒膜細胞を離散させる。②精子頭部が透明帯へ接着し、③先体からアクロシンを放出して透明帯を溶かしながら進む(先体反応)。④透明帯を通過した精子は卵細胞膜と融合し、⑤卵子表面の表層顆粒から酵素が開口分泌されて透明帯が変性し、他の精子の進入を阻む(透明帯反応・多精拒否)。⑥精子の遺伝子が卵細胞質へ入り雄性前核をつくり、卵子は第2減数分裂を完了して雌性前核を形成し、両核が癒合して受精卵(接合子)となる。図の矢印が外→内へ一方向に進む点を押さえたい。
学習の要点
- 受精は卵管膨大部で起こる。精子は放線冠→透明帯→卵細胞膜の順に外側から突破し、最終的に精子核(雄性前核)と卵子核(雌性前核)が癒合して受精卵(接合子)となる。
- 覚え方のコツ: 精子が使う2つの酵素を「ヒアルロニダーゼで放線冠をほぐし、アクロシンで透明帯を溶かす」と役割分担でセット暗記する。どちらも精子頭部の先体から出る。
- 関連知識: 表層顆粒は卵子(卵細胞)の細胞膜直下にあり、1個の精子が融合した瞬間に中身を放出して透明帯を変性させる。これが透明帯反応で、多精子受精(複数精子の進入)を防ぐしくみである。
- よくある間違い: 「先体反応=放線冠を通る反応」と混同しやすいが、アクロシン放出による先体反応は透明帯を溶かす③の段階。放線冠を離散させるのはヒアルロニダーゼで、先体反応とは区別する。
- 臨床応用: 卵子の第2減数分裂は受精の瞬間(⑥)に初めて完了する。排卵時点の卵子は第2減数分裂の途中で停止しており、精子の進入が完了の引き金となる。
比較表
確認問題(その場で確認・記録には残りません)
1個の精子が卵細胞膜と融合すると、卵子表面の( )から酵素が開口分泌されて透明帯が変性し、他の精子の進入が阻止される。この現象を透明帯反応という。空欄に入る語を答えよ。
答えを見る
答え: 表層顆粒
※ 確認問題はその場の理解確認用で、復習スケジュール(FSRS)には記録されません。