学習トップ / 理由で解く 解剖学 / 第5章 ▸ A. 腎臓 / Q0370

理由で解く 解剖学

Q0370 泌尿器系

出典:鍼灸 第13回(2005) 問題25
問題
腎臓について誤っている記述はどれか。
選択肢
1 右腎は左腎より低位にある。
2 糸球体と尿細管とを合わせてネフロンと呼ぶ。
3 ボーマン嚢の一端から遠位尿細管が始まる。
4 後腹膜器官である。
解答
正解2(糸球体と尿細管とを合わせてネフロンと呼ぶ。) または 3(ボーマン嚢の一端から遠位尿細管が始まる。) 〈複数正答:いずれも正解〉
解説

腎臓の位置・被覆と、尿をつくる最小単位であるネフロンの構成を問う否定型の問題である。ネフロンは「腎小体(糸球体+ボーマン嚢)+尿細管」であり、ボーマン嚢に続くのは近位尿細管であるから、この2点を述べた肢が誤りとなる。

腎臓は上腹部で脊柱の両側、おおむね第12胸椎〜第3腰椎の高さに位置し、腹膜の後ろに置かれた後腹膜器官(腹膜が前面だけをおおう器官)である。右側には肝臓が乗るため、右腎は左腎より約半椎体分低い。腎臓の実質では、毛細血管のかたまりである糸球体をボーマン嚢(糸球体を包む二重の袋)が包み、この2つを合わせて腎小体という。腎小体で血漿がこし出されて原尿となり、原尿は近位尿細管→ヘンレのループ(ヘンレ係蹄)→遠位尿細管と流れる間に再吸収・分泌を受け、集合管へ注ぐ。この「腎小体+尿細管」の一続きが尿をつくる機能上の単位=ネフロン(腎単位)である。集合管は複数のネフロンから尿を集めて運ぶ共通の管なので、ネフロンには含めない点に注意したい。流れの順番を「腎小体→近位→ヘンレ→遠位/ここまでがネフロン→集合管」と声に出して覚えておくと、「ボーマン嚢の次は近位尿細管」「ネフロンには糸球体だけでなくボーマン嚢も含む」「集合管は含まない」を同時に押さえられる。なお本問は誤りの記述が2つあるため、いずれを選んでも正解とする措置がとられている。

✗ 1. 正しい
右腎は左腎より低位にある。
右腎の上には肝臓の右葉があり、その分だけ下方へ押し下げられるため、右腎は左腎より約半椎体分低い位置にある。左右差の理由を「上に肝臓があるから右が低い」と結びつけておくと迷わない。したがってこの記述は正しく、本問の答えにはならない。
✓ 2. 誤り
糸球体と尿細管とを合わせてネフロンと呼ぶ。
ネフロン(腎単位)は、腎小体と尿細管を合わせたものである。腎小体は糸球体とそれを包むボーマン嚢からなるので、糸球体だけを挙げてボーマン嚢を除いたこの記述は不正確である。ろ過は糸球体で起こり、こし出された原尿を受け取るのがボーマン嚢という役割分担も押さえておきたい。
✓ 3. 誤り
ボーマン嚢の一端から遠位尿細管が始まる。
ボーマン嚢に続いて始まるのは近位尿細管である。原尿は近位尿細管からヘンレのループを経て遠位尿細管に至るので、ボーマン嚢の直後に遠位尿細管が来ることはない。尿細管の順序を取り違えさせる典型的なひっかけである。
✗ 4. 正しい
後腹膜器官である。
腎臓は腹膜の後方、脊柱の両側に位置し、腹膜が前面だけをおおう後腹膜器官である。腎臓・尿管・副腎ははじめから腹膜の後ろで発生する一次性の後腹膜器官、膵臓や十二指腸(いずれも大部分)は発生の途中で後腹膜へ貼りついた二次性の後腹膜器官と、成り立ちで2段に分けて覚えると区別を問われても答えられる。この記述は正しく、本問の答えにはならない。
ポイント
  • ネフロン(腎単位)=腎小体(糸球体+ボーマン嚢)+尿細管。糸球体だけでは腎小体にならず、集合管はネフロンに含まない。
  • 原尿の流れは腎小体→近位尿細管→ヘンレのループ→遠位尿細管→集合管。ボーマン嚢の次は近位尿細管。
  • 腎臓は後腹膜器官で、腹膜が前面だけをおおう。腎臓・尿管・副腎は一次性、膵臓・十二指腸(大部分)は二次性。
  • 右腎は上に肝臓があるため、左腎より約半椎体分低い。
  • ろ過は糸球体、こし出された原尿の受け皿がボーマン嚢、再吸収・分泌は尿細管という役割分担で整理する。
  • 重要用語: ネフロン, 腎小体, ボーマン嚢, 近位尿細管, 集合管, 後腹膜器官 を正確に理解しておくこと。
比較表
部位位置づけはたらき
糸球体腎小体の一部(毛細血管のかたまり)。ネフロンに含まれる血漿をこし出す(ろ過)
ボーマン嚢腎小体の一部(糸球体を包む袋)。ネフロンに含まれるこし出された原尿を受け取り、近位尿細管へ送る
近位尿細管ボーマン嚢に続く。ネフロンに含まれるブドウ糖・アミノ酸・水・電解質の大部分を再吸収
ヘンレのループ近位尿細管に続き髄質へ下降・上行。ネフロンに含まれる尿の濃縮にかかわる水・電解質の移動
遠位尿細管ヘンレのループに続く。ここまでがネフロンホルモンの調節を受けた再吸収・分泌
集合管ネフロンに含まれない(複数のネフロンが合流する共通の管)集めた尿をさらに濃縮し、腎乳頭へ運ぶ
解説画像
鍼灸 第13回(2005) 問題25|腎臓について誤っている記述はどれか。 解説図
鍼灸 第13回(2005) 問題25|腎臓について誤っている記述はどれか。
この問題の解説の修正を依頼する

解説に誤り・改善点があればお知らせください。件名と本文は自動入力済みです(編集できます)。お名前・メールアドレスは任意です。送信内容は玄康株式会社(黒澤一弘)に届きます。

この問題をアプリで理由で解く 解剖学
App Store入手