学習トップ理由で解く 解剖学第4章 ▸ H. 肝臓 / Q0330

理由で解く 解剖学

Q0330 消化器系

出典:あマ指 第2回(1994) 問題23
問題
肝臓について誤っている記述はどれか。
選択肢
1 肝鎌状間膜で右葉と左葉とに分けられる。
2 左葉の臓側面(下面)には胃が接する。
3 肝静脈は肝門を通る。
4 横隔面(上面)は横隔膜を介して心臓に接する。
解答
正解3(肝静脈は肝門を通る。)
解説
✗ 1.
肝鎌状間膜で右葉と左葉とに分けられる。
✗ 正しい。 正しい記述。肝鎌状間膜は肝臓の前上面から前腹壁・横隔膜に張る縦走する腹膜ヒダで、その付着線を境に肝臓は厚く大きい右葉と薄く小さい左葉とに区分される。下縁の自由縁には胎生期の臍静脈が閉鎖してできた肝円索が含まれる。
✗ 2.
左葉の臓側面(下面)には胃が接する。
✗ 正しい。 正しい記述。肝臓の臓側面(下面)では左葉に胃の前面(胃印)が接し、右葉には十二指腸・横行結腸・右腎・右副腎が接する。中央のH字状の溝に肝門・胆嚢窩・下大静脈溝があり、肝門を挟んで前方に方形葉、後方に尾状葉が位置する。
✓ 3. 誤り
肝静脈は肝門を通る。
これが誤りの記述であり本問の答え。肝静脈は肝門ではなく肝臓後面から直接出て、肝臓後面に密着する下大静脈に注ぐ。肝門を通るのは固有肝動脈・門脈・肝管の「肝門3要素」に加えて神経・リンパ管であり、これらは小網の自由縁(肝十二指腸間膜)内を走行する。肝静脈は中心静脈が集まって形成され、肝小葉構造の血液出口として下大静脈に直接流入する点が診断・手術で重要である。
✗ 4.
横隔面(上面)は横隔膜を介して心臓に接する。
✗ 正しい。 正しい記述。肝臓の横隔面は横隔膜のドーム状の下面に沿って密着し、横隔膜を介して右肺・胸膜腔の下縁、さらに心膜・心臓(主に右室下面)と隣接する。無漿膜野では肝と横隔膜が直接結合組織で連絡し、肝膿瘍が横隔膜を破って胸腔や心膜に波及する経路となる。
ポイント
  • 肝門を通るのは固有肝動脈・門脈・肝管の3要素であり、肝静脈は肝門ではなく肝後面から下大静脈へ直接注ぐ。
  • 覚え方のコツ: 肝門は「入り口3つ(動脈・門脈・胆管)」、肝静脈は「出口で裏口」と覚える。血液の出入りで入口は門脈+動脈、出口は肝静脈(下大静脈へ)と区別する。
  • 関連知識: 肝門3要素は小網のうち肝十二指腸間膜(小網の自由縁)を通る。これを指で圧迫すると肝血流を一時遮断できる(プリングル法)。
  • よくある間違い: 「肝静脈=肝の血管だから肝門を通る」と誤認しやすい。肝門は下面中央、肝静脈の流出口は後面で下大静脈に直接注ぐ点を混同しない。
  • 臨床応用: 肝硬変では肝内血行抵抗が上昇し門脈圧が亢進する。結果として側副路(食道静脈瘤・臍周囲メデューサの頭・痔静脈叢)が発達し、食道静脈瘤破裂による消化管出血が致死的合併症となる。
比較表
構造 通過部位 備考
固有肝動脈 肝門(入口) 酸素に富む動脈血を供給
門脈 肝門(入口) 消化管からの栄養血を運ぶ
肝管 肝門(出口) 胆汁を運び出す
肝静脈 肝後面→下大静脈 肝門は通らない
解説画像
あマ指 第2回(1994) 問題23|肝臓について誤っている記述はどれか。 解説図
あマ指 第2回(1994) 問題23|肝臓について誤っている記述はどれか。
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