学習トップ理由で解く 解剖学第4章 ▸ H. 肝臓 / Q0327

理由で解く 解剖学

Q0327 消化器系

出典:鍼灸 第3回(1995) 問題21
問題
肝臓について正しい記述はどれか。
選択肢
1 全面を腹膜で包まれる。
2 右葉と左葉とは同じ大きさである。
3 栄養血管は門脈である。
4 肝静脈は直接下大静脈に注ぐ。
解答
正解4(肝静脈は直接下大静脈に注ぐ。)
解説
✗ 1. 誤り
全面を腹膜で包まれる。
肝臓の表面の大部分は腹膜(漿膜)で覆われるが、横隔膜と接する上面後方の広い領域は腹膜に包まれず直接横隔膜と癒合する「無漿膜野(bare area)」をなす。また肝門部や胆嚢窩の一部にも無漿膜部分が存在し、「全面を覆う」とはいえない。
✗ 2. 誤り
右葉と左葉とは同じ大きさである。
肝臓は右葉のほうが左葉より明らかに大きく、容積比はおよそ6対1に達する。右葉は横隔膜の右ドームにすっぽり収まる大塊で、左葉は心臓の真下に細くせり出す程度にとどまる。下面には方形葉と尾状葉もあり、左右両葉は対称ではない。
✗ 3. 誤り
栄養血管は門脈である。
肝臓の栄養血管は、総肝動脈から分岐する固有肝動脈であり、酸素を豊富に含む血液で肝組織自体を養う。一方、門脈は胃腸・膵臓・脾臓から集めた静脈血を肝臓に運び、栄養分代謝・解毒・胆汁生成といった肝機能を担う機能血管であり、栄養血管とは区別される。
✓ 4. 正しい
肝静脈は直接下大静脈に注ぐ。
肝静脈は肝臓の後上方で左・中・右の3本にまとまり、横隔膜直下で下大静脈の前壁に直接注ぎ込む。門脈と固有肝動脈から入った血液は肝小葉内の類洞で混和され、中心静脈を経由して肝静脈に集約され、ここから下大静脈を通って右心房へ還る。肝静脈は固有肝動脈・門脈のような肝門からの出入りをせず、伴行する動脈も持たないのが解剖学的特徴である。
ポイント
  • 肝静脈は肝臓後上面から直接下大静脈へ注ぎ、肝門を通らない唯一の肝臓の主要血管である。
  • 覚え方のコツ: 「肝門の3兄弟=固有肝動脈・門脈・肝管」、「肝門を通らない反抗児=肝静脈」で4本を分けて覚える。
  • 関連知識: 栄養血管=固有肝動脈、機能血管=門脈という対比は肺(栄養=気管支動脈、機能=肺動脈)と同じ構図。
  • よくある間違い: 「門脈=栄養血管」と勘違いする/肝静脈が肝門を通ると誤認する/肝臓全面が腹膜に覆われるという思い込み。
  • 臨床応用: 肝静脈と下大静脈の合流部が狭窄・閉塞するBudd-Chiari症候群では、肝うっ血・腹水・肝腫大をきたし門脈圧も亢進する。
比較表
肝臓の血管 種類 役割 肝門通過
固有肝動脈 栄養血管(動脈血) 肝組織自体を栄養 通る
門脈 機能血管(静脈血) 胃腸からの栄養・ホルモンを運搬 通る
肝静脈 流出路(静脈血) 肝類洞の血液を下大静脈へ排出 通らない
肝管 胆道 胆汁の排出 通る
解説画像
鍼灸 第3回(1995) 問題21|肝臓について正しい記述はどれか。 解説図
鍼灸 第3回(1995) 問題21|肝臓について正しい記述はどれか。
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