学習トップ理由で解く 解剖学第4章 ▸ E. 胃 / Q0293

理由で解く 解剖学

Q0293 消化器系

出典:鍼灸 第31回(2023) 問題21
問題
胃について正しいのはどれか。
選択肢
1 胃底部で幽門につながる。
2 幽門では括約筋が発達している。
3 主細胞から塩酸が分泌される。
4 大弯に小網が付着する。
解答
正解2(幽門では括約筋が発達している。)
解説
✗ 1. 誤り
胃底部で幽門につながる。
胃底は胃の上方へドーム状に膨れた部分で、噴門の直上に位置する。幽門につながるのは胃の下部、すなわち胃体の先の幽門前庭部であり、胃底ではない。胃の連続は「噴門→胃底→胃体→幽門前庭→幽門→十二指腸」の順である。
✓ 2. 正しい
幽門では括約筋が発達している。
胃の筋層は平滑筋からなり、外層の縦走筋・中層の輪走筋に加えて最内層の斜走筋で構成される3層構造をとる。このうち輪走筋が幽門部で特に発達して厚くなり、幽門括約筋(pyloric sphincter)を形成する。幽門括約筋は不随意筋(平滑筋)で自律神経支配を受け、胃内容物が十二指腸へ送り出される速度を調節し、かつ十二指腸内容物の胃への逆流を防ぐ役割を担う。胃の内容物は3〜6時間かけて小腸に送られるが、脂肪の多い食物は幽門括約筋の開通時間が延長し胃内停滞時間が長くなる。新生児期の肥厚性幽門狭窄症では幽門括約筋が異常肥厚し、噴水状嘔吐の原因となる。
✗ 3. 誤り
主細胞から塩酸が分泌される。
主細胞が分泌するのはペプシノゲン(ペプシン前駆体)であり、塩酸を分泌するのは壁細胞である。壁細胞はプロトンポンプ(H⁺/K⁺-ATPase)によって塩酸を分泌し、同時にビタミンB12吸収に必要な内因子も分泌する。「主=ペプシノゲン/壁=塩酸+内因子」と対応させる。
✗ 4. 誤り
大弯に小網が付着する。
大弯に付着するのは大網であり、小網は小弯に付着して肝臓へ向かう。胃間膜は「小弯→小網→肝臓」「大弯→大網→横行結腸」の対応で整理する。大弯と小網の組み合わせは誤りである。
ポイント
  • 幽門では胃の輪走筋が特に発達・肥厚して幽門括約筋を形成し、胃内容物の十二指腸への排出速度を調節する。
  • 覚え方のコツ: 胃の構造順序「噴門→胃底(上のドーム)→胃体→幽門前庭→幽門→十二指腸」を一方向の流れで記憶。幽門=輪走筋が厚くなる出口。
  • 関連知識: 胃の筋層は3層(最外・縦走/中・輪走/最内・斜走)。幽門括約筋は輪走筋の肥厚で、自律神経支配の平滑筋。
  • よくある間違い: 胃底を下部と誤認/主細胞を塩酸分泌と誤解/大弯と小網(または小弯と大網)を入れ替える/幽門と噴門を混同。
  • 臨床応用: 新生児の肥厚性幽門狭窄症は幽門括約筋が異常肥厚し、噴水状嘔吐・脱水・代謝性アルカローシスを呈する。治療は幽門筋切開術(Ramstedt手術)が標準である。
比較表
区分 位置 特徴
噴門 食道との接続部 明瞭な括約筋なし(機能的括約帯)
胃底 上方のドーム部 横隔膜直下、胃泡
胃体 中央部 最大部、胃底腺が広く分布
幽門前庭 下部の管状部 粘膜ヒダが平行走行
幽門 十二指腸との接続部 輪走筋肥厚→幽門括約筋
解説画像
鍼灸 第31回(2023) 問題21|胃について正しいのはどれか。 解説図
鍼灸 第31回(2023) 問題21|胃について正しいのはどれか。
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