
この図の解説
この図でまず追うのは、1枚の胸膜がどこで折れ返り名前を変えるか、という「連続性」である。肺の表面に張りつく赤い膜が臓側胸膜(肺胸膜)で、肺門部まで来ると気管支や血管を包みながら折れ返り、胸腔の内面をおおう壁側胸膜へなめらかに移行する。だから両者はもともと1枚で、肺門でつながっている。その2枚に挟まれた水色の空間が胸膜腔で、少量の漿液で満たされ、呼吸で肺がふくらみ縮むときの滑りをよくしている。左図で確認したいのは、壁側胸膜が肋骨側・横隔膜側・縦隔側と場所ごとに肋骨胸膜・横隔胸膜・縦隔胸膜と呼び分けられること、そして胸膜腔の最下端、肋骨と横隔膜が出会う鋭い隅が胸膜洞である点。吹き出しの「折れ返らないと気管支や血管が出入りできない」が、肺門という開口部の意味を端的に示している。
学習の要点
- 臓側胸膜は肺門で折れ返って壁側胸膜となり、両者は連続した1枚の漿膜である。
- 覚え方のコツ: 「臓=中身(肺)、壁=外壁(胸壁)」。壁側は場所で肋骨・横隔・縦隔の3胸膜に分ける。
- 関連知識: 胸膜は心臓を包む心膜や腹部の腹膜と同じ漿膜の仲間で、いずれも臓側葉と壁側葉が連続して閉じた腔をつくる。
- よくある間違い: 胸膜腔を「空気の入った袋」と誤解しやすいが、正常では漿液で満たされた陰圧の狭い隙間で、空気が入ると気胸になる。
- 臨床応用: 胸膜洞は立位で液体がたまりやすい最下部で、胸水貯留の好発部位。胸膜炎後の癒着は肺の可動性を制限する。
比較表
確認問題(その場で確認・記録には残りません)
臓側胸膜と壁側胸膜との間の空間を( )といい、少量の漿液で満たされて肺の運動を滑らかにしている。
答えを見る
答え: 胸膜腔
※ 確認問題はその場の理解確認用で、復習スケジュール(FSRS)には記録されません。