学習トップ理由で解く 解剖学第3章 ▸ D. 肺・胸膜・縦隔 / Q0248

理由で解く 解剖学

Q0248 呼吸器系

出典:鍼灸 第8回(2000) 問題21
問題
肺について誤っている記述はどれか。
選択肢
1 右肺には水平裂がみられる。
2 肺の表面は臓側胸膜で包まれる。
3 胸膜腔は滑液で満たされる。
4 肺尖は鎖骨上方へ突出する。
解答
正解3(胸膜腔は滑液で満たされる。)
解説
✗ 1.
右肺には水平裂がみられる。
✗ 正しい。 右肺には水平裂と斜裂の2つの裂があり、水平裂(第4肋骨の高さで走る)が上葉と中葉を、斜裂が中葉と下葉を境する。左肺には斜裂のみで水平裂は存在しない。したがって右肺に水平裂があるという記述は正しい。
✗ 2.
肺の表面は臓側胸膜で包まれる。
✗ 正しい。 肺の表面は光沢のある薄い臓側胸膜で覆われており、裂の奥まで入り込んで肺の各葉の表面を完全に包んでいる。肺門では気管支・肺動静脈を包みつつ壁側胸膜へ移行する。肺表面を臓側胸膜で包むという記述は正しい。
✓ 3. 誤り
胸膜腔は滑液で満たされる。
胸膜腔を満たすのは滑液ではなく、ごく少量の無色の漿液である。この漿液は臓側胸膜と壁側胸膜の摩擦を減らし、呼吸運動に伴う肺の自由な滑走を可能にしている。滑液は関節腔や腱鞘を潤す液体で滑膜から分泌されるのに対し、胸膜腔の漿液は胸膜の間皮細胞から分泌される点で起源も性状も異なる。胸膜腔は安静時には陰圧に保たれ、漿液量は正常で10〜20ml程度とごく微量である。胸膜炎など炎症時には滲出液の増加により胸水として大量に貯留する。
✗ 4.
肺尖は鎖骨上方へ突出する。
✗ 正しい。 肺尖は鎖骨の上方2〜3cmに達し、胸郭上口を越えて頸部下端まで突出する。大鎖骨上窩の奥に相当し、体表では鎖骨上縁で叩打すると清音を呈する。鎖骨上方へ突出するという記述は正しい。
ポイント
  • 胸膜腔は臓側胸膜と壁側胸膜の間に形成される密閉空間で、少量の漿液(滑液ではない)で満たされ陰圧に保たれる。呼吸に伴う肺の滑走を助ける潤滑機構が要点。
  • 覚え方のコツ: 「漿液は胸膜腔/滑液は関節腔」で体腔ごとの潤滑液を対比暗記。漿液は「少量・無色・陰圧」の3点セット。裂は「右2裂(水平+斜)、左1裂(斜のみ)」と本数で暗記。
  • 関連知識: 壁側胸膜は肋骨胸膜・縦隔胸膜・横隔胸膜・胸膜頂に区分。胸膜洞(肋骨横隔洞・肋骨縦隔洞)は深呼吸時にも肺で完全に満たされない予備空間で、胸水貯留の好発部位。胸膜腔圧は吸気時−7mmHg、呼気時−4mmHg程度。
  • よくある間違い: 胸膜腔の液体を「滑液」と誤答する/胸膜腔圧を陽圧と誤認する/臓側胸膜と壁側胸膜の覆う範囲を混同する/左肺にも水平裂があると思い込む。
  • 臨床応用: 胸膜腔の陰圧が破綻すると気胸となり肺が虚脱する。自然気胸は20歳前後の痩せ型男性に好発。胸水貯留(滲出液・漏出液)は心不全・肺炎・悪性腫瘍で見られ、仰臥位では肋骨横隔洞に溜まりやすい。
比較表
体腔 潤滑液 分泌細胞
胸膜腔 漿液(少量・無色) 胸膜の間皮細胞
心膜腔 漿液 心膜の間皮細胞
腹膜腔 漿液 腹膜の間皮細胞
関節腔 滑液(ヒアルロン酸含有) 滑膜細胞
腱鞘 滑液 滑膜細胞
解説画像
鍼灸 第8回(2000) 問題21|肺について誤っている記述はどれか。 解説図
鍼灸 第8回(2000) 問題21|肺について誤っている記述はどれか。
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