
この図の解説
この図は気道(鼻腔・咽頭鼻部・喉頭・気管・気管支)の内面をおおう多列線毛上皮の断面である。まず上端の遊離面に注目すると、細く密生した線毛と、その上をおおう粘液の層が描かれている。細胞に埋まる核は上下バラバラの高さに位置しており、右のラベル「核の位置が不定(多列)」が示すとおり、これが「多列」と呼ばれる理由である。すべての細胞は基底膜に接する単層でありながら、核の高さがそろわないため一見重層に見える点がポイント。左には杯細胞があり、粘液(ムチン)を分泌して遊離面をおおう。吸気中の粉塵はこの粘液に吸着され、線毛の運動によって咽頭方向へ運び出される。
学習の要点
- 多列線毛上皮は単層の上皮であり、核の位置が上下にばらつくため一見重層に見えるが重層ではない。
- 覚え方のコツ: 「多列=見た目は重なるが実は1層」。線毛の向きは奥(肺)ではなく手前(咽頭)へ、と方向で覚える。
- 関連知識: 血管内腔は単層扁平上皮、腸内腔は単層円柱上皮、皮膚表面は重層扁平上皮、膀胱・尿管は移行上皮と、部位ごとの上皮を対で押さえる。
- よくある間違い: 「多列」を「重層」と混同する。多列は核の高さがずれるだけで、細胞はすべて基底膜に達する単層である。
- 臨床応用: 喫煙で線毛運動が障害されると粘液を排出できず、痰の貯留や慢性の咳につながる(粘液線毛クリアランスの低下)。
比較表
確認問題(その場で確認・記録には残りません)
多列線毛上皮に散在し、粘液(ムチン)を分泌して遊離面をおおう細胞を( )という。
答えを見る
答え: 杯細胞
※ 確認問題はその場の理解確認用で、復習スケジュール(FSRS)には記録されません。