
この図の解説
この図は鼻腔を正中で切り開き、内側の壁である鼻中隔を横から見たものである。まず注目すべきは、鼻中隔の粘膜を走る赤い血管網の密度で、前方(図の右)ほど毛細血管が集まって網の目状に濃くなっている。オレンジの円で囲まれ「鼻血が起きやすい場所」と示されているのが、鼻中隔の前下端部、すなわち外鼻孔に近い一角である。ここは毛細血管や静脈が豊富で、直下に軟骨があって血管が押さえつけられやすく、さらに粘膜が薄く外気や指などの機械的刺激を受けやすい。この三条件が重なるため鼻出血の好発部位となり、これをキーゼルバッハ部位という。図下の吹き出しが示すように、止血では出血側の鼻翼をこの前下方の一点に向けて押しつけるとよい。
学習の要点
- キーゼルバッハ部位は鼻中隔の前端部(前下部)にある鼻出血の好発部位である。
- 覚え方のコツ: 「前・薄い・軟骨・血管網」の4条件がそろう鼻中隔の一点。外側壁ではなく内側の壁(鼻中隔)にある点が要。
- 関連知識: 同じ鼻腔でも後上部には嗅覚を担う嗅粘膜(嗅上皮)があり、部位ごとに役割が分かれる。副鼻腔炎から鼻粘膜へ炎症が及ぶのも同じ鼻腔粘膜のつながりゆえ。
- よくある間違い: 鼻甲介や中鼻道など外側壁の構造と取り違える誤り。キーゼルバッハ部位は鼻中隔側にある。
- 臨床応用: 鼻出血の止血は、出血側の鼻翼を鼻中隔前下方へ圧迫するのが基本。部位の解剖を知っていれば的確に押さえられる。
比較表
確認問題(その場で確認・記録には残りません)
鼻中隔の前端部で外鼻孔に近く、毛細血管が多く集まって鼻出血を起こしやすい部位を( )という。
答えを見る
答え: キーゼルバッハ部位
※ 確認問題はその場の理解確認用で、復習スケジュール(FSRS)には記録されません。