学習トップ理由で解く 解剖学第2章 ▸ F. リンパ系 / Q0197

理由で解く 解剖学

Q0197 循環器系

出典:あマ指 第30回(2022) 問題17
問題
胸管について正しいのはどれか。
選択肢
1 左静脈角に注ぐ。
2 上端部は乳び槽に続く。
3 全身のリンパを集める。
4 横隔膜の食道裂孔を通過する。
解答
正解1(左静脈角に注ぐ。)
解説
✓ 1. 正しい
左静脈角に注ぐ。
胸管は大動脈裂孔を通って上行し、胸腔を貫いて頸部に達したのち、左内頸静脈と左鎖骨下静脈の合流部である左静脈角に注ぐ。ここから全身のリンパが静脈系に戻り循環系へと再流入する。右リンパ本幹が右静脈角に注ぐのに対し、胸管は左静脈角が終着点という点が重要な対応関係である。本肢が正解である。
✗ 2. 誤り
上端部は乳び槽に続く。
乳び槽は胸管の起始部(下端)に位置する拡張部で、第1〜2腰椎前面で左右の腰リンパ本幹と腸リンパ本幹が合流して形成される。したがって乳び槽に続くのは胸管の上端ではなく下端(起始部)であり、記述は逆で誤り。
✗ 3. 誤り
全身のリンパを集める。
胸管が集めるのは右上半身(右頭頸部・右上肢・右胸郭上部)を除く全身のリンパで、全体の約3/4にあたる。右上半身のリンパは右リンパ本幹が集めて右静脈角に注ぐため、「全身のリンパを集める」という記述は誤りとなる。
✗ 4. 誤り
横隔膜の食道裂孔を通過する。
胸管は大動脈裂孔(第12胸椎)を大動脈・奇静脈とともに通過して胸腔へ入る。食道裂孔(第10胸椎)を通るのは食道と迷走神経であり、胸管は通らない。3孔の通過構造を正確に対応づけることが重要。
ポイント
  • 胸管は左静脈角に注ぎ、右上半身を除く全身リンパ(約3/4)を集める。大動脈裂孔通過で胸腔に入る。
  • 覚え方のコツ: 胸管の経路は「乳び槽(L1〜2)→大動脈裂孔(Th12)→胸腔上行→左静脈角」。右リンパ本幹との対は「左胸管/右本幹」。
  • 関連知識: リンパ管壁には弁が多数あり、リンパ逆流を防ぐ。乳び槽は腸リンパ本幹と腰リンパ本幹の合流部で脂肪を含むため「乳び」様に見える。
  • よくある間違い: 胸管が全身のリンパを集めると思い込む/乳び槽が上端にあると誤認/食道裂孔通過と混同。
  • 臨床応用: 食道癌手術時の胸管損傷は乳び胸(胸腔内への乳び漏出)を来す。左鎖骨上リンパ節転移(Virchowリンパ節)は左静脈角付近で胃癌など腹部腫瘍の進行を示唆する。
比較表
区分 胸管 右リンパ本幹
終着静脈角 左静脈角 右静脈角
集めるリンパ 右上半身以外(全身の約3/4) 右頭頸・右上肢・右胸郭上部
起始部 乳び槽(L1〜2) 右頸部で短く合流
横隔膜通過 大動脈裂孔(Th12)を上行 通過しない
解説画像
あマ指 第30回(2022) 問題17|胸管について正しいのはどれか。 解説図
あマ指 第30回(2022) 問題17|胸管について正しいのはどれか。
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