学習トップ理由で解く 解剖学第2章 ▸ D. 静脈系 / Q0160

理由で解く 解剖学

Q0160 循環器系

出典:あマ指 第20回(2012) 問題28
問題
皮静脈の走行について正しい記述はどれか。
選択肢
1 橈側皮静脈は上腕二頭筋の内側を通る。
2 尺側皮静脈は鎖骨胸筋三角を通る。
3 大伏在静脈は内果の前方を通る。
4 小伏在静脈は外果の前方を通る。
解答
正解3(大伏在静脈は内果の前方を通る。)
解説
✗ 1. 誤り
橈側皮静脈は上腕二頭筋の内側を通る。
橈側皮静脈は前腕の橈側(外側・親指側)の皮下を上行し、上腕では上腕二頭筋の外側溝を通って鎖骨胸筋三角(三角筋と大胸筋の間)に達し、深部で腋窩静脈に注ぐ。「二頭筋の内側」を通るのは尺側皮静脈であり、内外を取り違える典型的ひっかけ問題。
✗ 2. 誤り
尺側皮静脈は鎖骨胸筋三角を通る。
尺側皮静脈は前腕の尺側(内側・小指側)の皮下を上行し、上腕では二頭筋の内側を通ったのち、上腕の中央付近で深部に潜り込んで上腕静脈に合流する。鎖骨胸筋三角を通って深部に入るのは橈側皮静脈で、両者の終末経路は対照的である。
✓ 3. 正しい
大伏在静脈は内果の前方を通る。
大伏在静脈は足背静脈網から始まり、内果の前方を通って下腿・大腿の内側皮下を上行し、鼠径部の伏在裂孔で大腿静脈に注ぐ人体最長の皮静脈である。内果の前方という体表の定点は触診・静脈確保・下肢静脈瘤の手術で重要な解剖学的指標となる。
✗ 4. 誤り
小伏在静脈は外果の前方を通る。
小伏在静脈は足背外側から起こり、外果の「後方」を通って下腿後面の皮下正中を上行し、膝窩で深筋膜を貫いて膝窩静脈に注ぐ。外果を「後方で回り込む」という点が小伏在静脈の特徴であり、「前方」と書かれた本肢は走行の誤り。
ポイント
  • 下肢の皮静脈は「大伏在=内果の前方/内側」「小伏在=外果の後方/後面」と左右・前後が対称的。
  • 覚え方のコツ: 「大は内の前、小は外の後」と5字リズムで暗記。上肢は「橈側皮静脈=外・鎖骨胸筋三角」「尺側皮静脈=内・上腕で深部へ」と対比。
  • 関連知識: 肘窩では橈側皮静脈と尺側皮静脈が肘正中皮静脈で連絡し、採血に最もよく利用される。皮静脈は浅筋膜下を走り弁を持つ。
  • よくある間違い: 内果・外果の前後を取り違える/橈側・尺側皮静脈の終末を逆にする。足関節の立体構造をイメージし「伏在」を内側と覚えるのがポイント。
  • 臨床応用: 大伏在静脈は静脈瘤の最多発部位で、弁不全による逆流がストリッピング術やレーザー焼灼術の適応となる。内果前方は下肢静脈確保が困難なときの確実な穿刺部位。
比較表
皮静脈 起始 走行の要点 終止
大伏在静脈 足背静脈網内側 内果の前方→下腿・大腿内側 大腿静脈(伏在裂孔)
小伏在静脈 足背静脈網外側 外果の後方→下腿後面正中 膝窩静脈
橈側皮静脈 手背静脈網橈側 前腕橈側→上腕二頭筋の外側溝 腋窩静脈(鎖骨胸筋三角)
尺側皮静脈 手背静脈網尺側 前腕尺側→上腕二頭筋内側 上腕静脈(上腕中央で深部へ)
解説画像
あマ指 第20回(2012) 問題28|皮静脈の走行について正しい記述はどれか。 解説図
あマ指 第20回(2012) 問題28|皮静脈の走行について正しい記述はどれか。
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