
この図の解説
この図は後腹壁を正面から開いて、脊柱の前を下る腹大動脈とその枝を示している。中央を縦に走る太い赤い幹が腹大動脈で、横隔膜を貫通した直後から第4腰椎の高さまで下行し、下端で左右の総腸骨動脈に分かれる点をまず確認したい。枝は色分けされた3系統で整理されている。緑の「壁側枝(有対性)」は腹壁を養う下横隔動脈・腰動脈、黄の「消化器系への臓側枝(無対性)」は大動脈の前面から順に出る腹腔動脈・上腸間膜動脈・下腸間膜動脈、桃色の「泌尿生殖器への臓側枝(有対性)」は側方に出る腎動脈・精巣(卵巣)動脈である。図の右列で、腹腔動脈・上腸間膜動脈・腎動脈が上から近接して分岐し、その下に下腸間膜動脈が出る前後関係を見比べると、無対枝は前面・正中から、有対枝は側方から出るという規則が視覚的につかめる。総腸骨動脈が内腸骨動脈と外腸骨動脈に分かれる終末部までが一望できる。
学習の要点
- 腹大動脈の枝は3系統で覚える。壁側枝(有対)=下横隔動脈・腰動脈、消化器への臓側枝(無対・前面)=腹腔動脈/上腸間膜動脈/下腸間膜動脈、泌尿生殖器への臓側枝(有対・側方)=腎動脈・性腺動脈。
- 覚え方のコツ: 「無対=前・単数、有対=横・左右一対」。消化管を養う3枝は正中の腸間膜に沿うため無対で前面から、腎・性腺は左右の臓器に行くため有対で側方から出る。
- 関連知識: 腹腔動脈は横隔膜のすぐ下で最初に出て、直ちに左胃動脈・脾動脈・総肝動脈の3枝に分かれ、胃・肝・胆嚢・膵・脾を養う。上腸間膜動脈は小腸~横行結腸、下腸間膜動脈は下行結腸~直腸に分布する。
- よくある間違い: 腰動脈を無対と誤りやすいが、胸部の肋間動脈に相当する壁側枝で左右4対の有対枝である。逆に腹腔・上腸間膜・下腸間膜の3枝は無対。
- 臨床応用: 右腎動脈は下大静脈の深層をくぐって右腎に達する。腹大動脈は下端(第4腰椎)付近が動脈瘤の好発部位で、拍動性腫瘤として触れることがある。
比較表
確認問題(その場で確認・記録には残りません)
腹大動脈は横隔膜の( )を貫通した下方の部分をいい、第4腰椎の高さで左右の( )動脈に分岐する。空欄に入る語をそれぞれ答えよ。
答えを見る
答え: 大動脈裂孔、総腸骨
※ 確認問題はその場の理解確認用で、復習スケジュール(FSRS)には記録されません。