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理由で解く 解剖学

Q0009 人体の構成

出典:鍼灸 第25回(2017) 問題16
問題
膜輸送について正しいのはどれか。
選択肢
1 単純拡散では濃度勾配に逆らって物質が細胞膜を通過する。
2 促通拡散では ATP 分解で生じたエネルギーを利用する。
3 食作用では細胞膜が物質を包み込んで細胞内に取り込む
4 能動輸送では担体蛋白質を介して物質が細胞に取り込まれる。
解答
正解3(食作用では細胞膜が物質を包み込んで細胞内に取り込む)
解説
✗ 1. 誤り
単純拡散では濃度勾配に逆らって物質が細胞膜を通過する。
単純拡散は濃度勾配に「従って」物質が細胞膜を通過する受動的な輸送である。水や呼吸ガス(酸素・二酸化炭素)、アルコールなどの脂溶性物質は細胞膜の脂質二重層を自由に通過し、エネルギーを必要とせず高濃度側から低濃度側へ流れる。濃度勾配に逆らう輸送はイオンポンプなどの能動輸送である。
✗ 2. 誤り
促通拡散では ATP 分解で生じたエネルギーを利用する。
促通拡散はATPを利用しない。アミノ酸やグルコースなどは細胞膜に埋め込まれた担体タンパク質が形を変えて膜を通過させるが、駆動力は濃度勾配であり能動的なエネルギー消費はない。ATP分解エネルギーを利用するのはNa-Kポンプに代表される能動輸送である。
✓ 3. 正しい
食作用では細胞膜が物質を包み込んで細胞内に取り込む
食作用は、死んだ細胞や細菌など大きな異物を細胞膜が周囲から盛り上がって包み込み、食胞として細胞内に取り入れる膜輸送様式である。取り入れる物質が小さいときには膜の一部が落ち込んで飲小胞として取り込む「飲作用」も同類の現象である。食作用はマクロファージ(大食細胞)や好中球が細菌・異物・死細胞を処理する生体防御の基本メカニズムで、取り込まれた食胞はリソソームと融合して加水分解酵素により内容物が分解される。
✗ 4. 誤り
能動輸送では担体蛋白質を介して物質が細胞に取り込まれる。
能動輸送はポンプ(イオンポンプ)を介してATP分解エネルギーを消費し、濃度勾配に逆らってイオンを輸送する仕組みである。Na-Kポンプは絶えずナトリウムイオンを細胞外に、カリウムイオンを細胞内に汲み出している。担体タンパク質を介するのは促通拡散であり、能動輸送とは異なる。
ポイント
  • 食作用は細胞膜が大きな異物を包み込んで食胞として取り込む膜輸送で、マクロファージ・好中球で盛ん。
  • 覚え方のコツ: 「濃度差に沿う=拡散(受動)、担体介在=促通拡散、ATP消費=能動(ポンプ)、膜で包む=食作用」と4様式でセット記憶。
  • 関連知識: Na-K ATPaseは能動輸送の代表。細胞が消費するATPの約40%がこのポンプに使われる。
  • よくある間違い: 「促通拡散がATPを使う」「能動輸送が担体を使う」と取り違える。ATP依存はポンプのみ、担体は促通拡散の特徴。
  • 臨床応用: マクロファージ・好中球の食作用は感染防御の基盤。好中球減少症では食作用低下により重症感染を起こしやすい。リソソーム内消化にもつながる。
比較表
輸送様式 エネルギー 輸送方向 代表例
単純拡散 不要 濃度勾配に沿う 酸素・二酸化炭素・水
促通拡散 不要 濃度勾配に沿う グルコース・アミノ酸
能動輸送(ポンプ) ATP要 濃度勾配に逆らう Na⁺-K⁺ポンプ
イオンチャネル 不要 電気・化学的勾配に沿う Na⁺・K⁺・Ca²⁺チャネル
食作用・飲作用 ATP要 膜で包んで取り込む マクロファージの貪食
解説画像
鍼灸 第25回(2017) 問題16|膜輸送について正しいのはどれか。 解説図
鍼灸 第25回(2017) 問題16|膜輸送について正しいのはどれか。
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