学習トップ理由で解く 柔道整復師運動学 ▸ §4 頭・頸部、四肢と体幹の運動(筋の作用および神経支配を含む) / QJ34A110

理由で解く 柔道整復師

QJ34A110 運動学

出典:第34回柔道整復師国家試験(2026)午前 問110
問題
筋と母指の関節運動の組合せで正しいのはどれか。
選択肢
1 長母指屈筋-橈側外転
2 長母指伸筋-尺側内転
3 短母指外転筋 -掌側外転
4 母指対立筋一掌側内転
解答
正解3(短母指外転筋 -掌側外転)
解説

短母指外転筋は、母指を手掌面に対して直角に持ち上げる掌側外転の主動作筋である。母指の運動用語は「手掌面を基準に、掌側か橈側か」で区別する。

母指の手根中手(CM)関節は鞍関節で、他の指と約90度ねじれた面に位置する。そのため運動の呼び名も手掌面を基準に決められており、手掌面の中で母指を橈側へ広げるのが橈側外転(主動作筋は長母指外転筋)、手掌面から垂直に持ち上げるのが掌側外転(短母指外転筋)である。それぞれ元に戻す動きが尺側内転・掌側内転で、内転の主動作筋は母指内転筋(尺骨神経支配)となる。対立は屈曲・外転・回旋が合わさった複合運動で、母指対立筋が働いて母指の指腹を他指の指腹に向き合わせる。正中神経麻痺(猿手)で掌側外転と対立が失われるのは、短母指外転筋と母指対立筋がどちらも正中神経支配の母指球筋だからであり、この点まで結びつけて覚えると得点源になる。

✓ 3. 正しい
短母指外転筋 -掌側外転
短母指外転筋は屈筋支帯と舟状骨結節から起こり母指基節骨底に停止する正中神経支配の母指球筋で、母指を手掌面から垂直に離す掌側外転の主動作筋である。正中神経麻痺で最初に評価される運動でもある。
✗ 1. 誤り
長母指屈筋-橈側外転
長母指屈筋は母指の指節間(IP)関節を主体に屈曲を起こす筋である。橈側外転を担うのは長母指外転筋であり、組合せが対応していない。
✗ 2. 誤り
長母指伸筋-尺側内転
長母指伸筋の主作用は母指のIP関節・中手指節(MP)関節の伸展である。尺側内転の主動作筋は母指内転筋(尺骨神経支配)であり、組合せとしては成立しない。
✗ 4. 誤り
母指対立筋一掌側内転
母指対立筋は屈曲・外転・回旋を合わせた対立運動を起こし、母指を小指側へ向かい合わせる筋である。掌側内転を担うのは母指内転筋であり、対立と内転は区別して覚える。
ポイント
  • 掌側外転=手掌面に垂直に離す(短母指外転筋・正中神経)。橈側外転=手掌面ので橈側へ離す(長母指外転筋・橈骨神経)。
  • 掌側内転・尺側内転はどちらも母指内転筋(尺骨神経)が主動作筋。
  • 対立は「屈曲+外転+回旋」の複合運動で母指対立筋(正中神経)が担う。単なる内転ではない。
  • 正中神経麻痺(猿手)では短母指外転筋・母指対立筋が働かず、掌側外転と対立が障害される。
  • 母指のCM関節は鞍関節で他指と約90度ねじれているため、運動の呼び名も手掌面を基準に決められている。
比較表
母指の運動動きの向き主動作筋支配神経
掌側外転手掌面から垂直に離す短母指外転筋正中神経
掌側内転掌側外転位から手掌面へ戻す母指内転筋尺骨神経
橈側外転手掌面の中で橈側へ離す長母指外転筋橈骨神経(後骨間神経)
尺側内転手掌面の中で尺側へ戻す母指内転筋尺骨神経
屈曲・伸展MP・IP関節の曲げ伸ばし長/短母指屈筋、長/短母指伸筋正中神経/橈骨神経
対立屈曲+外転+回旋で指腹を他指に向ける母指対立筋正中神経
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