学習トップ理由で解く 柔道整復師生理学 ▸ §10 生殖 / QJ32A092

理由で解く 柔道整復師

QJ32A092 生理学

出典:第32回柔道整復師国家試験(2024)午前 問92
問題
妊娠中に乳汁分泌を抑制しているのはどれか。
選択肢
1 エストロゲン
2 オキシトシン
3 プロラクチン
4 成長ホルモン
解答
正解1(エストロゲン)
解説

妊娠中に乳汁分泌を抑えているのは、胎盤から大量に分泌されるエストロゲン(およびプロゲステロン)である。乳腺は発育させるが、プロラクチンが乳汁を作る作用は乳腺レベルで抑え込んでいる。

妊娠が進むとプロラクチンの血中濃度は上昇していくが、乳汁分泌は始まらない。これは胎盤由来のエストロゲンとプロゲステロンが乳腺上皮のプロラクチン受容体の発現やシグナル伝達を抑えているためで、いわば「アクセル(プロラクチン)は踏まれているがブレーキ(性ステロイド)が効いている」状態である。分娩で胎盤が娩出されるとエストロゲン・プロゲステロンが急速に低下し、ブレーキが外れてプロラクチンの作用が一気に現れ、産後2〜3日で乳汁分泌が本格化する。授乳期には児の吸啜刺激が乳頭の感覚受容器から視床下部へ伝わり、下垂体前葉からのプロラクチン分泌を維持するとともに、下垂体後葉からオキシトシンを放出させて乳汁を押し出す(射乳反射)。プロラクチン=乳汁を「作る」/オキシトシン=乳汁を「出す」という役割分担も併せて確認しておきたい。

✓ 1. 正しい
エストロゲン
妊娠中は胎盤から大量に分泌され、プロゲステロンとともに乳腺・乳管の発育を促す一方で、乳腺に対するプロラクチンの乳汁産生作用を抑制する。分娩後に急減することで、この抑制が解除されて乳汁分泌が始まる。
✗ 2. 該当しない
オキシトシン
下垂体後葉から分泌され、乳腺の筋上皮細胞を収縮させてすでに作られた乳汁を押し出す(射乳反射)ホルモンである。子宮平滑筋も収縮させる。抑制ではなく促進側の働きをする。
✗ 3. 該当しない
プロラクチン
下垂体前葉から分泌され、乳腺腺房での乳汁産生を促進するホルモンである。妊娠中も増えているが、性ステロイドによって作用が抑えられているために乳汁が出ない、という関係にある。
✗ 4. 該当しない
成長ホルモン
下垂体前葉から分泌され、IGF-1を介して成長を促すほか、乳腺の発育を補助的に支える。乳汁分泌を抑える働きはない。
ポイント
  • 妊娠中:胎盤由来のエストロゲン・プロゲステロンが乳腺でのプロラクチン作用を抑制する。
  • 分娩で胎盤が出る → 性ステロイド急減 → 抑制解除 → 産後2〜3日で乳汁分泌が本格化。
  • プロラクチン=乳汁を作るオキシトシン=乳汁を出す(射乳反射)
  • 吸啜刺激が両ホルモンの分泌を維持する。授乳が続くほど分泌も保たれる。
  • プロラクチンは視床下部からのドパミン(PIH)で常時抑制されているという調節も併せて押さえる。
比較表
時期エストロゲン・プロゲステロンプロラクチンの作用乳汁分泌
妊娠中高値(胎盤由来)乳腺レベルで抑制される起こらない
分娩直後胎盤娩出により急減抑制が外れて発現開始(産後2〜3日で本格化)
授乳期低値吸啜刺激で維持継続(オキシトシンによる射乳反射で排出)
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