学習トップ理由で解く 柔道整復師病理学概論 ▸ §8 免疫異常・アレルギー / QJ31A124

理由で解く 柔道整復師

QJ31A124 病理学概論

出典:第31回柔道整復師国家試験(2023)午前 問124
問題
リンパ球の中で、他のリンパ球の分化を誘導するのはどれか。
選択肢
1 NKT 細胞
2 ヘルパーT細胞
3 細胞傷害性T細胞
4 ナチュラルキラー細胞
解答
正解2(ヘルパーT細胞)
解説

他のリンパ球の分化・活性化を指揮するのはヘルパーT細胞(CD4陽性T細胞)。サイトカインを介して免疫応答全体の司令塔として働く。

樹状細胞などの抗原提示細胞がMHCクラスⅡに抗原ペプチドを載せて提示すると、ヘルパーT細胞がこれを認識して活性化する。活性化したヘルパーT細胞はサイトカインを分泌し、B細胞を形質細胞へ分化させて抗体産生とクラススイッチを促し、細胞傷害性T細胞の増殖・成熟を助け、マクロファージを活性化する。分化の方向によりTh1(細胞性免疫寄り)、Th2(液性免疫・アレルギー寄り)、Th17、制御性T細胞などに分かれ、免疫応答の「質」を決める役割も担う。HIVがこの細胞を破壊すると細胞性免疫も液性免疫も同時に破綻し、日和見感染や悪性腫瘍が出現することからも、司令塔としての位置づけが実感できる。「指揮する細胞(ヘルパーT)」と「実行する細胞(細胞傷害性T、NK、形質細胞)」を分けて整理するとよい。

✓ 2. 正しい
ヘルパーT細胞
CD4陽性で、抗原提示を受けるとサイトカインを分泌し、B細胞の形質細胞への分化・抗体産生や、細胞傷害性T細胞の増殖・成熟を誘導する。他のリンパ球の分化を導く役割を担う唯一の選択肢である。
✗ 1. 誤り
NKT 細胞
T細胞受容体とNK細胞の受容体を併せ持ち、糖脂質抗原に反応して速やかにサイトカインを産生する。自然免疫と獲得免疫の橋渡し役として働くが、他のリンパ球の分化を体系的に誘導する主役ではない。
✗ 3. 誤り
細胞傷害性T細胞
CD8陽性で、MHCクラスⅠを介してウイルス感染細胞や腫瘍細胞を認識し、パーフォリンやグランザイムで直接傷害する実行役。むしろヘルパーT細胞から分化・活性化の助けを受ける側である。
✗ 4. 誤り
ナチュラルキラー細胞
抗原提示を受けなくても、MHCクラスⅠの発現が低下した細胞などを見つけて傷害する自然免疫のリンパ球。感染早期や腫瘍免疫で働くが、他のリンパ球の分化を誘導する役割は担っていない。
ポイント
  • ヘルパーT細胞=CD4陽性、MHCクラスⅡ拘束性。サイトカインで免疫応答を指揮する司令塔。
  • B細胞の抗体産生・クラススイッチ、細胞傷害性T細胞の活性化、マクロファージ活性化を助ける。
  • 細胞傷害性T細胞=CD8陽性、MHCクラスⅠ拘束性。感染細胞・腫瘍細胞を直接傷害する実行役。
  • NK細胞=自然免疫。抗原提示なしにMHCクラスⅠ低下細胞を傷害する。
  • 「指揮する細胞」と「実行する細胞」に分けて整理すると、この種の設問で迷わない。
比較表
細胞主なマーカー主な役割免疫の区分
ヘルパーT細胞CD4サイトカインで他のリンパ球の分化・活性化を誘導獲得免疫(司令塔)
細胞傷害性T細胞CD8感染細胞・腫瘍細胞を直接傷害獲得免疫(実行役)
NK細胞CD16・CD56抗原提示なしに異常細胞を傷害自然免疫
NKT細胞TCR+NK受容体糖脂質抗原に応答し早期にサイトカイン産生自然免疫と獲得免疫の橋渡し
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