学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §17 各論(骨折) 下肢 / QJ30P081

理由で解く 柔道整復師

QJ30P081 柔道整復理論

出典:第30回柔道整復師国家試験(2022)午後 問81
問題
棘果長に左右差がみられないのはどれか。
選択肢
1 股関節後方脱臼
2 大腿骨頸部骨折
3 デュベルニー(Duverney)骨折
4 マルゲーニュ (Malgaigne)骨折
解答
正解4(マルゲーニュ (Malgaigne)骨折)
解説

マルゲーニュ骨折では半骨盤が骨片ごと上方へ転位し、測定の基準点である上前腸骨棘も一緒に動きます。そのため棘果長に左右差が出にくく、4が答えになります。

棘果長は上前腸骨棘から内果までの距離で、股関節から遠位の相対的な下肢長をみる指標です。ここで大切なのは、基準点そのものが移動してしまう損傷では左右差が現れないという点です。マルゲーニュ骨折は片側の恥骨・坐骨部の骨折と同側後方の仙腸関節部の離開(または腸骨・仙骨骨折)が組み合わさり、半骨盤が縦に分離して腰方形筋や腹筋に引かれて上方転位する垂直剪断型の損傷です。この場合、下肢は骨盤ごと引き上がっているのに上前腸骨棘との位置関係は変わらないため、臍から内果までの臍果長を測って初めて患側の短縮が捉えられます。「基準点が動くなら、より近位の動かない基準点で測り直す」という考え方が要点です。

✓ 4. 左右差はみられない(=答え)
マルゲーニュ (Malgaigne)骨折
半骨盤が上方へ転位するため、上前腸骨棘も下肢とともに移動します。両者の相対的な距離は変わらず棘果長に差が出ないので、臍果長を測定して短縮を確認します。
✗ 1. 左右差がみられる(=答えではない)
股関節後方脱臼
骨頭が寛骨臼の後上方へ移動するため患肢は短縮し、屈曲・内転・内旋位に弾発性固定されます。骨盤側の基準点は動かないので棘果長は短縮します。
✗ 2. 左右差がみられる(=答えではない)
大腿骨頸部骨折
骨片が上方へ転位して患肢は短縮し、外旋位をとります。骨盤は健常なので棘果長に左右差が現れます。
✗ 3. 左右差がみられる(=答えではない)
デュベルニー(Duverney)骨折
腸骨翼の単独骨折で、骨盤輪の連続性は保たれます。ただし測定の基準点である上前腸骨棘を含む骨片が転位すれば測定値そのものが変わるため、棘果長に左右差が生じます。
ポイント
  • 棘果長=上前腸骨棘〜内果。基準点が動く損傷では左右差が現れない
  • マルゲーニュ骨折=垂直剪断型の骨盤骨折。半骨盤が上方転位し、上前腸骨棘も一緒に動く
  • マルゲーニュ骨折の下肢短縮は臍果長(臍〜内果)で捉える
  • 股関節後方脱臼・大腿骨頸部骨折は骨盤側の基準点が動かないので棘果長が短縮する
  • デュベルニー骨折は腸骨翼単独骨折。骨盤輪は保たれるが、基準点を含む骨片の転位で測定値が変わる
比較表
測定法基準点主な用途
棘果長(SMD)上前腸骨棘〜内果股関節より遠位の相対的下肢長
転子果長大転子〜外果大腿骨より遠位の下肢長(頸部の異常を除外して比較)
臍果長臍〜内果骨盤自体が転位する損傷での下肢短縮の評価
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