学習トップ / 理由で解く 柔道整復師 / 必修問題 ▸ §15 肩鎖関節上方脱臼の診察および整復 / QJ30A017
理由で解く 柔道整復師
肩鎖関節上方脱臼の3度損傷は、肩鎖靱帯と烏口鎖骨靱帯がともに断裂した完全脱臼です。突出した鎖骨遠位端を押し下げても指を離すと再び浮き上がる反跳症状(ピアノキー症状)がみられます。
肩鎖関節は、関節そのものを支える肩鎖靱帯と、鎖骨を烏口突起へ吊り下げる烏口鎖骨靱帯(円錐靱帯・菱形靱帯)の二重構造で安定しています。3度損傷ではこの両方が断裂するため、鎖骨を下方につなぎ止めるものがなくなります。その結果、鎖骨遠位端は僧帽筋に引かれて上方へ、肩甲骨と上肢は自重で下方へ移動し、外見上は鎖骨遠位端が段差状に突出する階段状変形を呈します。この突出部を上から圧迫すると一時的に整復されますが、圧を除くとただちに再突出する ―― これが反跳症状(ピアノキー症状)で、支持機構が完全に破綻していることを示す3度損傷の代表的所見です。疼痛のある患者は僧帽筋の緊張を緩めようとして頭部を患側に傾け、健側の手で患肢を支える姿勢をとります。3度が疑われる場合は、患肢の固定(デゾー包帯など)と冷却で疼痛を抑えつつ、医師の診察・画像評価につなげる対応をとります。
| 程度 | 損傷される靱帯 | 転位 | 反跳症状 |
|---|---|---|---|
| 1度 | 肩鎖靱帯の部分損傷 | なし | 陰性(圧痛のみ) |
| 2度 | 肩鎖靱帯断裂+烏口鎖骨靱帯は部分損傷 | 亜脱臼(軽度の階段状変形) | 軽度〜不明瞭 |
| 3度(本問) | 肩鎖靱帯+烏口鎖骨靱帯がともに完全断裂 | 完全脱臼(階段状変形が明瞭) | 明らかに陽性 |
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