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理由で解く 柔道整復師

QJ29P002 衛生学・公衆衛生学

出典:第29回柔道整復師国家試験(2021)午後 問2
問題
疫学の組合せで正しいのはどれか。2つ選べ。
選択肢
1 無作為化ー・交絡の制御
2 無作為抽出-選択バイアスの制御
3 記述疫学-症例対照研究
4 有病率-一定期間の病気のかかりやすさ
解答
正解1(無作為化ー・交絡の制御)、2(無作為抽出-選択バイアスの制御)
解説

無作為化(ランダム化)は交絡の制御、無作為抽出は選択バイアスの制御です。名前は似ていますが、操作する場面も目的も違います。

無作為化は介入研究(ランダム化比較試験)で被験者を偶然に任せて群分けする操作です。年齢・喫煙・重症度といった既知の交絡因子だけでなく、測定していない未知の交絡因子まで両群に均等に分布させられる点が最大の利点で、これが介入研究を最も信頼性の高いデザインにしています。一方、無作為抽出は母集団から標本を偶然に任せて選ぶ操作で、標本の代表性を確保し、対象の選ばれ方の偏り(選択バイアス)を減らします。研究デザインの段階では、記述疫学が人・場所・時間の切り口で疾病頻度の分布を記述して仮説をつくる段階、分析疫学がその仮説を検証する段階であり、症例対照研究とコホート研究が分析疫学の代表です。頻度の指標では、有病率がある一時点で疾病を有する者の割合(断面)、罹患率が一定期間に新たに発生する率(かかりやすさ)と区別します。

✓ 1. 正しい
無作為化ー・交絡の制御
偶然に任せて群を分けることで、既知の交絡因子はもちろん、研究者が想定していない未知の交絡因子まで両群に均等に散らばります。これが解析による調整(層別解析・多変量解析)では得られない、無作為化の強みです。
✓ 2. 正しい
無作為抽出-選択バイアスの制御
母集団の全員が等しい確率で選ばれるようにすることで標本の代表性が確保され、「協力的な人だけが集まる」といった選ばれ方の偏りを避けられます。標本の大きさは偶然誤差(ばらつき)に効き、抽出方法は選択バイアスに効く、と役割を分けて覚えます。
✗ 3. 誤り
記述疫学-症例対照研究
症例対照研究は分析疫学に属します。記述疫学は既存資料や観察から人・場所・時間別に頻度分布を記述し、要因の仮説を立てる段階です。組合せるなら「記述疫学-仮説の設定」「分析疫学-症例対照研究・コホート研究」となります。
✗ 4. 誤り
有病率-一定期間の病気のかかりやすさ
一定期間のかかりやすさを表すのは罹患率(発生率)です。有病率はある一時点で疾病を有している者の割合で、おおよそ「罹患率×平均有病期間」の関係にあります。治りにくく長く続く疾患ほど、罹患率が同じでも有病率は高くなります。
ポイント
  • 無作為化=群の分け方を偶然に任せる → 未知の因子まで均等化し、交絡を制御する。
  • 無作為抽出=標本の選び方を偶然に任せる → 代表性を確保し、選択バイアスを制御する。
  • 記述疫学=人・場所・時間で頻度を記述し仮説を立てる。分析疫学(症例対照研究・コホート研究)=仮説を検証する。
  • 有病率=一時点で疾病を有する者の割合。罹患率=一定期間の新規発生。
  • 有病率 ≒ 罹患率 × 平均有病期間。長引く疾患ほど有病率が高くなる。
比較表
用語何を行う/表すか正しい対応
無作為化被験者を偶然に任せて群分けする(介入研究)交絡の制御
無作為抽出母集団から偶然に任せて標本を選ぶ選択バイアスの制御
記述疫学人・場所・時間別に頻度分布を記述仮説の設定
分析疫学要因と疾病の関連を検証症例対照研究・コホート研究
有病率ある一時点で疾病を有する者の割合断面(現在の負担量)
罹患率一定期間の新規発生数/観察人年かかりやすさ(発生の勢い)
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