学習トップ理由で解く 柔道整復師衛生学・公衆衛生学 ▸ §2 公衆衛生 / QJ28P003

理由で解く 柔道整復師

QJ28P003 衛生学・公衆衛生学

出典:第28回柔道整復師国家試験(2020)午後 問3
問題
喫煙と肺癌発生の疫学的因果関係の検討で正しい組合せはどれか。
選択肢
1 関連の強固性-たばこの煙には様々な発がん物質が含まれる。
2 関連の一致性-肺癌発生率は喫煙者が非喫煙者に比べ高い。
3 関連の時間性-長期間の喫煙歴が肺癌の発生に先行する。
4 関連の整合性喫煙と肺癌発生の関連は、様々な国の研究で認められる。
解答
正解3(関連の時間性-長期間の喫煙歴が肺癌の発生に先行する。)
解説

疫学で因果関係を判断する視点(Hillの基準)の名称と、その中身の対応を問う設問。原因が結果に先立って存在することを示す「関連の時間性」の説明になっているのは3である。

統計的な関連が本当に因果関係かどうかを検討するとき、代表的な視点として次のものが挙げられる。時間性(原因が結果に先行する)、強固性(相対危険度やオッズ比が大きい=関連が強い)、一致性(対象集団・地域・研究方法を変えても同じ向きの関連が再現される)、特異性(その要因とその疾病が特異的に対応する)、整合性・生物学的妥当性(既知の生物学的知見や病理所見と矛盾しない)である。このうち時間性だけは必須条件で、結果が原因に先行することはあり得ない以上、時間性が示せなければ因果関係は成立しない。本問の1・2・4は、説明文の内容自体は喫煙と肺癌について事実であるものの、当てはめられた視点名がずれている。

✓ 3. 正しい組合せ
関連の時間性-長期間の喫煙歴が肺癌の発生に先行する。
原因(喫煙)が結果(肺癌)よりも先に存在していることを述べており、時間性の説明そのものである。コホート研究は曝露の有無を確認してから発生を追跡するため時間性を示しやすく、横断研究では前後関係が分からないため示しにくい、という研究デザインの話とセットで理解しておきたい。
✗ 1. 誤った組合せ
関連の強固性-たばこの煙には様々な発がん物質が含まれる。
発がん物質が含まれるという記述は、関連が生物学的にもっともらしいことを支える内容であり、整合性(生物学的妥当性)に当たる。強固性は「喫煙者の肺癌リスクは非喫煙者の何倍か」という関連の大きさを指す。
✗ 2. 誤った組合せ
関連の一致性-肺癌発生率は喫煙者が非喫煙者に比べ高い。
曝露群で発生率が高いという記述は関連の大きさの話なので、強固性に当たる。一致性は、別の国・別の年代・別の研究デザインでも同じ向きの結果が得られることを指す。
✗ 4. 誤った組合せ
関連の整合性喫煙と肺癌発生の関連は、様々な国の研究で認められる。
様々な国の研究で同じ関連が確認されるのは一致性(再現性)である。整合性は、既に判明している生物学的機序や病理所見と矛盾しないことを指す。なお本問は、1の説明文が整合性の内容、2の説明文が強固性の内容、4の説明文が一致性の内容と、3つが順ぐりにずれた形になっている。1と4の説明文を入れ替えるだけでは、4は「整合性—発がん物質が含まれる」で正しくなるものの、1が「強固性—様々な国の研究で認められる」となって依然誤り(これは一致性の説明)である点に注意したい。正しい配置は、1の説明文に2の内容、2の説明文に4の内容、4の説明文に1の内容が入る形である。
ポイント
  • 時間性=原因が結果に先行する。因果関係の必須条件で、これだけは譲れない。
  • 強固性=関連の大きさ(相対危険度・オッズ比が大きい)。
  • 一致性=集団・地域・研究方法を変えても同じ結果が再現される。
  • 整合性/生物学的妥当性=既知の生物学的知見や病理所見と矛盾しない。
  • 本問の1・2・4は説明文が順ぐりにずれている(1の説明文は整合性、2の説明文は強固性、4の説明文は一致性の内容)。正しい配置は「1の説明文に2の内容、2の説明文に4の内容、4の説明文に1の内容」。1と4を入れ替えるだけでは1が正しくならないので注意。
比較表
視点意味喫煙と肺癌での例本問でこの内容が置かれている選択肢
時間性原因が結果に先行する長期間の喫煙歴が肺癌発生に先行する3(名称と内容が一致=正答)
強固性関連が強い(危険度が大きい)喫煙者の肺癌発生率が非喫煙者より高い2の説明文
一致性異なる集団・方法でも再現される様々な国の研究で同じ関連が認められる4の説明文
整合性・生物学的妥当性既知の生物学的知見と矛盾しないたばこの煙に発がん物質が含まれる1の説明文
特異性要因と疾病が特異的に対応する特定の曝露が特定の疾病に結び付く
この問題の解説の修正を依頼する

解説に誤り・改善点があればお知らせください。件名と本文は自動入力済みです(編集できます)。お名前・メールアドレスは任意です。送信内容は玄康株式会社(黒澤一弘)に届きます。