学習トップ理由で解く 柔道整復師運動学 ▸ §4 頭・頸部、四肢と体幹の運動(筋の作用および神経支配を含む) / QJ27A089

理由で解く 柔道整復師

QJ27A089 運動学

出典:第27回柔道整復師国家試験(2019)午前 問89
問題
胸鎖乳突筋で正しいのはどれか。
選択肢
1 両側同時に収縮することはない。
2 右側の収縮で頭部は左側に回旋する。
3 左側の収縮で頸部は右側に側屈する。
4 呼吸運動に作用しない。
解答
正解2(右側の収縮で頭部は左側に回旋する。)
解説

胸鎖乳突筋は一側が収縮すると「同じ側へ側屈し、反対側へ回旋する」。右側が収縮すれば顔は左を向くので、選択肢2が正しい。

胸鎖乳突筋は胸骨柄の前面と鎖骨内側1/3から2頭で起こり、後上方へ走って側頭骨の乳様突起と後頭骨上項線の外側部に停止する。支配神経は副神経(外枝)で、固有感覚は頸神経叢(C2・C3)が担う。停止部が起始部より後方かつ外側にあるため、一側だけが縮むと「頭を同じ側に傾けながら、顔は反対側へ向ける」という組合せの運動になる。両側が同時に縮めば頸部は前屈し、環椎後頭関節では頭部がむしろ伸展位をとる。さらに胸骨・鎖骨を引き上げる働きがあるため、努力性吸気の補助筋としても重要である。自分の首を左へ回して右側の筋が浮き上がるのを触れて確かめると、回旋が反対側であることを身体で覚えられる。

✓ 2. 正しい
右側の収縮で頭部は左側に回旋する。
一側収縮による回旋は必ず反対側向きになる。右の胸鎖乳突筋が縮むと乳様突起が前下方へ引かれ、その結果として顔は左を向く。首を左へ向けたときに右側の筋腹が索状に浮き上がるので、実際に触って確認しておくと定着する。
✗ 1. 誤り
両側同時に収縮することはない。
両側同時収縮は日常的に起こる。仰臥位から頭を持ち上げる場面のように頸部を前屈させるときや、努力性吸気で胸郭上部を引き上げるときに、左右がそろって働く。左右の作用が打ち消し合うのは側屈と回旋の成分だけで、屈曲・挙上の成分は加算される、と考えると理解しやすい。
✗ 3. 誤り
左側の収縮で頸部は右側に側屈する。
側屈は同側に起こるので、左側が収縮すれば頸部は左へ側屈する。「側屈は同側、回旋は反対側」とセットで唱えて覚える。先天性筋性斜頸で一側が短縮すると、頭部は患側へ傾き顔は健側を向くという典型像になるのも、この法則の現れである。
✗ 4. 誤り
呼吸運動に作用しない。
努力性吸気の補助筋として働く。頭頸部が固定されると起始と停止の関係が逆転し、胸骨・鎖骨を引き上げて胸郭上部を広げる。呼吸が苦しい状態が続く人で胸鎖乳突筋や斜角筋が発達して見えるのは、この補助筋が常時動員されているためで、呼吸状態を推し量る観察点になる。
ポイント
  • 起始: 胸骨柄前面+鎖骨内側1/3/停止: 乳様突起・後頭骨上項線の外側部
  • 支配神経: 副神経(外枝)+頸神経叢(C2・C3)
  • 一側収縮: 同側へ側屈+反対側へ回旋(顔は反対を向く)
  • 両側収縮: 頸部前屈(頭部は伸展位)、努力性吸気の補助
  • 筋性斜頸では患側が短縮 → 頭部は患側へ傾き、顔は健側を向く
比較表
収縮のしかた起こる運動確認のしかた
右側のみ頸部を右へ側屈+顔は左へ回旋顔を左へ向けると右の筋腹が浮き上がる
左側のみ頸部を左へ側屈+顔は右へ回旋顔を右へ向けると左の筋腹が浮き上がる
両側同時頸部前屈(頭部は伸展)、胸骨・鎖骨の挙上仰臥位で頭を持ち上げる/努力性吸気
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