学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §7 総論 脱臼 / QJ26P069

理由で解く 柔道整復師

QJ26P069 柔道整復理論

出典:第26回柔道整復師国家試験(2018)午後 問69
問題
脱臼を疑わせる所見で誤っているのはどれか。
選択肢
1 弾発性抵抗を認める。
2 関節軸が変化する。
3 関節血腫が著明である。
4 関節窩部に陥凹を触知する。
解答
正解3(関節血腫が著明である。)
解説

脱臼を疑わせるのは「弾発性固定」と「関節部の変形(関節軸の変化・骨頭の位置異常・関節窩の空虚)」という固有症状。関節血腫が著明という所見は、むしろ関節内骨折や靱帯損傷を示唆する。

脱臼では骨頭が関節窩から完全に外れ、周囲の筋と関節包の緊張で異常な位置に固定される。そのため他動的に動かすとゴムを押し返すような抵抗があり、手を離すと元の異常肢位へ戻る(弾発性固定)。関節を構成する骨の位置関係が崩れるので関節軸は健側と違い、もとの関節窩は空虚となって陥凹として触れる。一方、脱臼では関節包が破綻していることが多く、出血は関節腔にとどまらず周囲の軟部組織へ広がるため、関節腔が血液で張る「著明な関節血腫」は脱臼を積極的に示す所見にならない。関節が緊満して波動を触れるときは関節内骨折や十字靱帯損傷などを念頭に置き、画像評価のため医師の診察につなぐ。

✗ 1. 脱臼を疑わせる所見(=答えではない)
弾発性抵抗を認める。
脱臼の固有症状そのもの。周囲の筋・関節包の緊張により、他動運動でバネのような抵抗を感じ、離すと元の肢位に戻る。整復されるとこの抵抗が消えるので、整復完了の目安の一つにもなる。
✗ 2. 脱臼を疑わせる所見(=答えではない)
関節軸が変化する。
骨頭が関節窩から転位するため、関節をつくる骨の位置関係が崩れて軸がずれる。健側と見比べると肢位の異常(外転位・内転位など)として現れ、脱臼特有の変形の一部にあたる。
✓ 3. これが答え(誤っている記述)
関節血腫が著明である。
脱臼では関節包が破れて血液が関節外へ流出するため、関節腔内に血液がたまって緊満する像は典型的でない。関節血腫が著明なときは、関節内骨折や膝の十字靱帯損傷など「関節包が保たれたまま関節内で出血する」損傷を第一に考える。したがって脱臼を疑わせる所見としては誤り。
✗ 4. 脱臼を疑わせる所見(=答えではない)
関節窩部に陥凹を触知する。
骨頭が抜け出た結果、もとの関節窩の部分が空虚となり陥凹として触れる(肩関節前方脱臼での肩峰下の陥凹が代表)。同時に転位した骨頭が別の場所で異常な隆起として触れることも多い。
ポイント
  • 脱臼の固有症状=弾発性固定関節部の変形(関節軸の変化・骨頭の異常位置・関節窩の空虚)。この2つがそろえば脱臼を強く疑う。
  • 疼痛・腫脹・機能障害は骨折とも共通する一般外傷症状で、鑑別には使えない。
  • 脱臼は関節包が破れるため出血が関節外へ広がる。逆に関節内に血液が緊満するのは関節内骨折・靱帯損傷を示唆。
  • 弾発性固定は整復されると消失する。整復前後で必ず確認する。
  • 関節血腫が著明、拍動が触れない、しびれがあるなど骨折・神経血管損傷を疑う所見があれば、画像診断のため医師の診察につなぐ。
比較表
所見脱臼関節内骨折・靱帯損傷
弾発性固定あり(固有症状)なし
関節軸・骨頭の位置変化する/関節窩は空虚原則保たれる
関節血腫目立たない(関節外へ流出)著明・緊満し波動を触れる
異常可動性・軋轢音なし骨折ではみられることがある
整復での変化整復すると弾発性固定が消失整復操作では所見が変わらない
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