学習トップ理由で解く 柔道整復師解剖学 ▸ §3 脈管系(循環器系) / QJ26A038

理由で解く 柔道整復師

QJ26A038 解剖学

出典:第26回柔道整復師国家試験(2018)午前 問38
問題
機能的終動脈が存在しないのはどれか。
選択肢
1
2 心臓
3 肝臓
4 脾臓
解答
正解3(肝臓)
解説

肝臓は肝動脈と門脈の二重支配を受けるため、片方が閉塞しても壊死に陥りにくく、機能的終動脈をもたない臓器として扱われる。

終動脈とは他の動脈と吻合をもたず、詰まればその支配域が壊死(梗塞)する動脈をいう。まったく吻合がないものを解剖学的終動脈と呼び、網膜中心動脈が代表である。吻合はあっても細すぎて実際には代償できないものを機能的終動脈と呼び、脳・心臓・脾臓・腎臓などがこれにあたる。脳梗塞・心筋梗塞・脾梗塞・腎梗塞が起こるのはこの構造が理由である。これに対し肝臓は、酸素を運ぶ肝固有動脈と、消化管からの栄養を運ぶ門脈(肝血流量の約7割)の2系統から血液を受け、しかも小葉内では洞様毛細血管(類洞)が広く交通している。そのため肝動脈が閉塞しても門脈血で代償され、典型的な梗塞像を作りにくい。「二重の血液供給をもつか」を判断の軸にすると、この種の問題は素早く切れる。

✓ 3. これが答え(機能的終動脈をもたない)
肝臓
肝固有動脈と門脈の二重支配を受け、類洞で血流が交通する。片方が途絶えてももう一方が補うため、終動脈型の梗塞を起こしにくい。
✗ 1. 答えではない(機能的終動脈をもつ)
脳底部では大脳動脈輪(ウィリス動脈輪)が太い動脈同士をつなぐが、実質に入った皮質枝・穿通枝は事実上の終動脈で、閉塞すればその領域が脳梗塞に陥る。
✗ 2. 答えではない(機能的終動脈をもつ)
心臓
左右の冠状動脈の枝は機能的終動脈で、閉塞部より末梢の心筋が壊死して心筋梗塞となる。
✗ 4. 答えではない(機能的終動脈をもつ)
脾臓
脾動脈の区域枝は終動脈的に分布し、閉塞するとくさび形の脾梗塞を生じる。
ポイント
  • 解剖学的終動脈=吻合が全くない(網膜中心動脈が典型)。
  • 機能的終動脈=吻合はあるが細く代償できない(脳・心臓・脾臓・腎臓など)。
  • 肝臓は肝固有動脈+門脈の二重支配。門脈が肝血流の約7割を占める。
  • 肺も気管支動脈と肺動脈の二重支配を受け、梗塞を起こしにくい臓器として並べて覚える。
  • 判断の軸は「その臓器に血液を送る系統が1本か2本か」。
比較表
臓器血液供給梗塞の起こりやすさ
内頸動脈・椎骨動脈系(実質枝は終動脈)脳梗塞を起こす
心臓冠状動脈のみ心筋梗塞を起こす
脾臓脾動脈のみ脾梗塞を起こす
肝臓肝固有動脈+門脈の二重支配梗塞を起こしにくい
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