学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §15 各論(骨折) 頭部・体幹 / QJ25P075

理由で解く 柔道整復師

QJ25P075 柔道整復理論

出典:第25回柔道整復師国家試験(2017)午後 問75
問題
胸腰椎移行部圧迫骨折で誤っているのはどれか。
選択肢
1 脊柱屈曲位でしりもちをつき発生する。
2 受傷椎高位に一致する帯状痛がみられる。
3 腹部膨満感を訴える。
4 脊髄損傷を合併しやすい。
解答
正解4(脊髄損傷を合併しやすい。)
解説

胸腰椎移行部の単純な圧迫骨折は椎体前方が楔状につぶれる損傷で、後壁は保たれるため脊髄損傷を合併することは少ない。したがって4が設問の答えとなる。

胸腰椎移行部(第11胸椎〜第2腰椎)は、固定性の高い胸椎と可動性の高い腰椎の境目にあたり、力学的ストレスが集中するため圧迫骨折の好発部位となる。発生機序は脊柱屈曲位での尻もちや高所からの着地で、屈曲+軸圧が椎体前方に集中して前方が楔状に圧潰する。後方要素(椎弓根・椎体後壁)が保たれる限り脊柱管は狭くならず、神経症状は生じにくい。症状としては受傷椎の高さに一致した帯状の疼痛(肋間神経や腰神経の走行に沿う関連痛)、体動時痛、叩打痛がみられ、後腹膜血腫や交感神経の刺激により麻痺性イレウスを起こして腹部膨満感・腹痛・悪心を訴えることもある。ただし椎体後壁が破綻する破裂骨折では骨片が脊柱管に突出して麻痺を生じうるため、下肢のしびれや筋力低下、膀胱直腸障害があれば直ちに医師の診察につなぐ。

✓ 4. これが答え(誤っている記述)
脊髄損傷を合併しやすい。
単純圧迫骨折では椎体前方のみが圧潰し、椎体後壁と後方要素が保たれるため脊柱管は狭くならない。脊髄損傷を合併しやすいのは後壁が破綻して骨片が脊柱管へ突出する破裂骨折であり、単純圧迫骨折の一般的な特徴とはいえない。
✗ 1. 正しい記述(答えではない)
脊柱屈曲位でしりもちをつき発生する。
屈曲位での尻もちや着地により、屈曲モーメントと軸圧が椎体前方に集中して楔状に圧潰する。典型的な発生機序である。
✗ 2. 正しい記述(答えではない)
受傷椎高位に一致する帯状痛がみられる。
損傷高位から出る脊髄神経の走行に沿って、体幹を取り巻くような帯状の疼痛が現れる。疼痛の高さから受傷椎を推定できる有用な所見である。
✗ 3. 正しい記述(答えではない)
腹部膨満感を訴える。
後腹膜血腫や自律神経の刺激により腸管の蠕動が低下し、麻痺性イレウスを起こして腹部膨満感や悪心を訴えることがある。腰背部痛と併せて注意すべき随伴症状である。
ポイント
  • 胸腰椎移行部(Th11〜L2)は胸椎と腰椎の可動性の差でストレスが集中し、圧迫骨折の好発部位。
  • 機序は屈曲位での尻もち・着地。椎体前方が楔状に圧潰する。
  • 単純圧迫骨折は後壁が保たれるため脊髄損傷は少ない。合併しやすいのは破裂骨折。
  • 症状は受傷高位に一致する帯状痛、体動時痛、叩打痛、麻痺性イレウスによる腹部膨満感。
  • 下肢のしびれ・筋力低下・膀胱直腸障害があれば脊柱管内病変を疑い、体幹を捻らないよう保持して直ちに医師へ紹介する。
比較表
単純圧迫骨折破裂骨折
損傷する部分椎体前方のみ(楔状変形)椎体前方+後壁
脊柱管保たれる骨片が突出し狭窄しうる
神経症状まれ合併しやすい
主な症状帯状痛、体動時痛、腹部膨満感上記+下肢麻痺、膀胱直腸障害
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