学習トップ理由で解く 柔道整復師運動学 ▸ §5 姿勢 / QJ25A092

理由で解く 柔道整復師

QJ25A092 運動学

出典:第25回柔道整復師国家試験(2017)午前 問92
問題
立位姿勢の制御で正しいのはどれか。
選択肢
1 足関節では前脛骨筋が前方へ倒れるのを防ぐ。
2 膝関節では重力のモーメントが膝屈曲を防ぐ。
3 股関節では大殿筋が過伸展を防ぐ。
4 脊柱では腹筋群が前方へ曲がるのを防ぐ。
解答
正解2(膝関節では重力のモーメントが膝屈曲を防ぐ。)
解説

静止立位では重心線が膝関節中心のやや前方を通るため、重力によるモーメントが膝を伸展方向に押さえ、膝が屈曲する(膝折れする)のを防いでいます。正答は2です。

立位姿勢の保持は、重心線が各関節のどちら側を通るかで説明できます。矢状面でみると、重心線は乳様突起→肩峰のやや前方→股関節中心のやや後方→膝関節中心のやや前方→足関節のやや前方、という経路をたどります。重心線が関節の前を通れば伸展方向、後ろを通れば屈曲方向のモーメントが生じ、それに抗する筋や靱帯が働いて姿勢が保たれます。膝関節では重力そのものが伸展方向に働くため筋活動をほとんど必要とせず、これが「立っているだけなら膝はさほど疲れない」理由になります。足関節では重心線が前方を通り体幹が前へ倒れようとするので、後面の下腿三頭筋(特にヒラメ筋)が持続的に働きます。股関節では重心線が後方を通って過伸展方向へ傾こうとするのを、主に腸骨大腿靱帯(Y靱帯)が受け止めます。脊柱では脊柱起立筋がわずかに活動して前屈を防いでいます。この「重心線の位置→生じるモーメント→抗する組織」という3段構えで整理すると、どの関節を問われても答えを組み立てられます。

✗ 1. 誤り
足関節では前脛骨筋が前方へ倒れるのを防ぐ。
重心線は足関節のやや前方を通るため、体は前方へ倒れようとします。これに抗するのは下腿後面の下腿三頭筋(特にヒラメ筋)です。前脛骨筋は足関節を背屈させる前面の筋で、体が後方へ倒れそうなときに働きます。前後の位置関係を図に書いて確認しておきましょう。
✓ 2. 正しい
膝関節では重力のモーメントが膝屈曲を防ぐ。
重心線が膝関節中心のやや前方を通るため、重力によるモーメントは膝を伸展方向に押さえます。その結果、膝が屈曲する(膝折れする)のを防ぐことができ、筋の持続的な活動をほとんど必要としません。伸展しすぎる分は後方関節包や側副靱帯、十字靱帯が受け止めます。
✗ 3. 誤り
股関節では大殿筋が過伸展を防ぐ。
重心線は股関節中心のやや後方を通るため過伸展方向のモーメントが生じますが、これを受け止めるのは主に腸骨大腿靱帯(Y靱帯)で、必要に応じて前面の腸腰筋が働きます。大殿筋は股関節の伸展筋であり、静止立位ではほとんど活動しません。「過伸展を止めるのは前面の組織」と方向で考えると迷いません。
✗ 4. 誤り
脊柱では腹筋群が前方へ曲がるのを防ぐ。
脊柱が前方へ曲がる(前屈する)のを防ぐのは、背側にある脊柱起立筋群です。腹筋群は体幹の前面にあり、後方へ反るのを制御する側にあたります。抗重力筋として静止立位で持続的にわずかな活動を示すのは脊柱起立筋のほうです。
ポイント
  • 重心線は矢状面で、乳様突起→肩峰のやや前→股関節のやや後→膝関節のやや前→足関節のやや前を通る。
  • 足関節:重心線が前方→前へ倒れる力→下腿三頭筋(ヒラメ筋)が抗する。
  • 膝関節:重心線が前方→伸展モーメント→膝折れを防ぎ、筋活動をほぼ要しない。
  • 股関節:重心線が後方→過伸展モーメント→腸骨大腿靱帯(Y靱帯)と腸腰筋が抗する。
  • 「重心線の位置→生じるモーメント→抗する筋・靱帯」の3段構えで各関節を整理する。
比較表
関節重心線の通り方生じるモーメント主に抗する組織
足関節やや前方背屈(前方へ倒れる)下腿三頭筋(ヒラメ筋)
膝関節やや前方伸展(膝折れを防ぐ)後方関節包・靱帯(過伸展を制動)
股関節やや後方過伸展腸骨大腿靱帯(Y靱帯)、腸腰筋
脊柱体幹前方寄り前屈脊柱起立筋群
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