学習トップ理由で解く 柔道整復師生理学 ▸ §2 血液 / QJ25A063

理由で解く 柔道整復師

QJ25A063 生理学

出典:第25回柔道整復師国家試験(2017)午前 問63
問題
生合成にビタミンKを必要とする血液凝固因子はどれか。
選択肢
1 第I因子(フィブリノゲン)
2 第Ⅱ因子(プロトロンビン)
3 第Ⅲ因子(組織トロンボプラスチン)
4 第Ⅷ因子(抗血友病因子)
解答
正解2(第Ⅱ因子(プロトロンビン))
解説

ビタミンKは、凝固因子のグルタミン酸残基をγ-カルボキシグルタミン酸(Gla)に変える反応の補酵素です。この修飾を受けるのは第Ⅱ・Ⅶ・Ⅸ・Ⅹ因子で、選択肢の中では第Ⅱ因子(プロトロンビン)が当てはまります。

肝細胞で作られる凝固因子のうち、第Ⅱ・Ⅶ・Ⅸ・Ⅹ因子はγ-グルタミルカルボキシラーゼによってGla残基を持つようになります。この強い負電荷がCa2+を橋渡し役にして、損傷部位の血小板膜リン脂質に因子をつなぎ止めます。足場に乗って初めて凝固反応が一気に加速するため、ビタミンKが足りないと因子は合成されてもGlaを持たない不完全な分子(PIVKA)となり働けません。新生児(腸内細菌が未熟でビタミンKが乏しい)の出血やワルファリン投与でプロトロンビン時間が延びるのはこの仕組みによります。逆に言えば、ビタミンK依存かどうかを決めるのは「肝細胞で作られるかどうか」ではなく「Gla化を受けるかどうか」です。覚え方は「肉・納豆=2・9・7・10」。納豆=ビタミンKと結びつけると想起しやすくなります。

✓ 2. 正しい
第Ⅱ因子(プロトロンビン)
プロトロンビンはビタミンK依存性因子の代表です。Gla化を受けてCa2+を介し血小板膜リン脂質に結合し、同じく膜上に集まった第Ⅹa因子・第Ⅴa因子(+Ca2+・リン脂質)からなるプロトロンビナーゼ複合体によってトロンビンへ変換されます。プロトロンビンはこの酵素複合体の構成要素ではなく、複合体が作用を及ぼす基質である点に注意しましょう。ビタミンK欠乏やワルファリンでまず影響が出る因子群であり、その活性を反映するのがプロトロンビン時間(PT)です。
✗ 1. 誤り
第I因子(フィブリノゲン)
フィブリノゲンも肝臓で合成されますが、Gla化は受けないためビタミンKを必要としません。トロンビンによって切断されフィブリンになる「最終基質」の役割で、ビタミンK欠乏やワルファリン投与では通常低下しません。肝合成=ビタミンK依存、と短絡しないことがこの問のポイントです。
✗ 3. 誤り
第Ⅲ因子(組織トロンボプラスチン)
組織因子(組織トロンボプラスチン)は血中を流れる蛋白ではなく、血管外の細胞膜に常在する膜貫通蛋白です。組織が傷ついて血液と接すると第Ⅶ因子と結合し、外因系を起動します。肝で作られる凝固因子ではなく、ビタミンKも必要としません。
✗ 4. 誤り
第Ⅷ因子(抗血友病因子)
第Ⅷ因子は血管内皮系(肝の類洞内皮細胞を含む)で産生され、von Willebrand因子と結合して血中を運ばれます。肝細胞で作られる第Ⅱ・Ⅶ・Ⅸ・Ⅹ因子と違ってGla化を受けないため、ビタミンK非依存です。先天的に欠けると血友病Aになり、活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)が延びてPTは正常という点も合わせて押さえておくとよいでしょう。
ポイント
  • ビタミンK依存性凝固因子は第Ⅱ・Ⅶ・Ⅸ・Ⅹ因子。「肉納豆(2・9・7・10)」で覚える。抗凝固側のプロテインC・プロテインSも同じ仲間。
  • ビタミンKはγ-カルボキシル化の補酵素。生じたGla残基がCa2+を介して因子を血小板リン脂質膜に係留する。
  • プロトロンビナーゼ複合体をつくる(酵素側の)のは第Ⅹa因子+第Ⅴa因子(+Ca2++リン脂質膜)。プロトロンビン(第Ⅱ因子)は複合体の構成因子ではなく、切断されてトロンビンになる基質。
  • 欠乏すると働けないPIVKAが増え、プロトロンビン時間(PT)が延長する。ワルファリンはこの反応を阻害して抗凝固作用を示す。
  • 第Ⅰ因子(フィブリノゲン)・第Ⅷ因子はビタミンK非依存。決め手は産生される臓器ではなくGla化を受けるかどうかで、「肝臓で作られる=ビタミンK依存」ではない。
  • 第Ⅲ因子(組織因子)は組織細胞の膜上にある外因系の起動役。第Ⅳ因子はCa2+そのもの。
比較表
区分該当する因子作られる場所欠乏・阻害時の指標
ビタミンK依存性(Gla化を受ける)第Ⅱ(2)、第Ⅶ(7)、第Ⅸ(9)、第Ⅹ(10)、プロテインC・S肝細胞PT延長(第Ⅶの半減期が短く早期に現れる)
ビタミンK非依存(肝細胞で産生)第Ⅰ(フィブリノゲン)、第Ⅴ(5)、第Ⅺ(11)、第ⅩⅢ(13)など肝細胞肝不全で低下。ビタミンK投与では戻らない
ビタミンK非依存(肝細胞以外で産生)第Ⅷ(8)因子、von Willebrand因子肝類洞内皮細胞など血管内皮系(肝細胞ではない)欠乏でAPTT延長(血友病A、von Willebrand病)
因子ではあるが蛋白でない/膜蛋白第Ⅲ(組織因子)、第Ⅳ(Ca2+組織細胞膜・血漿ビタミンKと無関係
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